あなたなら、何を持って逃げますか――。難民支援を行っているNGO、国際救済委員会(IRC)は9月4日、シリアやアフガニスタンなどからギリシャのレスボス島に逃れてきた難民たちのバッグの中身を紹介する写真を発表した。子供、母親、ティーンエイジャー、薬剤師、アーティスト、そして総勢31人の大家族に頼んで、彼らが何をバッグに詰め込んだのかを尋ねたという。
写真プロジェクトを率いたIRCのジュリエット・ディレイ氏は、ハフポストUK版に「この企画は、女性誌でよくある特集を見て思いついた」と話した。
「旅は危険で困難を極めるため、難民たちは身軽です。ギリシャへ渡るボートは、すし詰め状態。費用を余計に払わない限り、2つ目の荷物は持ち込めません。
しかし、これらの人々は、ほとんど私たちと変わらない人たちです。彼らは、たる爆弾や、いつ終わるかもわからない困難から逃れてきました。もしあなたが彼らのような状態に置かれたら、何を持って逃げますか」
彼らははバッグに何を詰め込んだのか。その一部を以下に紹介する。
※彼らの苗字はプライバシーポリシー保護のため省略されている。
子供
オムラン(6歳) シリアのダマスカス出身
親戚と一緒に暮らすために、ドイツへ向かっているところ。
- ズボンとシャツ、それぞれ1着ずつ
- 緊急用の注射器
- マシュマロと甘いクリーム(オムランのお気に入りのお菓子)
- 石鹸、歯ブラシ、歯磨き粉
- ばんそうこう
母親
アボウサ(20歳) シリアのダマスカス出身
夫と生後10カ月の娘とともにトルコの国境を超え、ボートでギリシャへ到着。ヨーロッパを目指している。
- 赤ちゃん用の帽子と靴下
- 薬、滅菌水のボトル、ベビーフード
- おむつの代わりのナプキン
- 鎮痛剤、日焼け止め、軟膏、歯磨き粉
- 母子手帳
- 財布(IDカードとお金)
- 携帯電話の充電器
- ヘッドバンド
ティーンエイジャー
イクバル(17歳) アフガニスタンのクンドゥズ州出身
トルコへ徒歩で移動した後、イランに逃げた。今はレスボス島にいるが、次にどこへ行くのかはまだ未定。
- ズボン、シャツ、靴下、靴、各1組
- シャンプー、ヘアジェル、歯ブラシ、歯磨き粉、美白クリーム
- くし、爪切り
- 包帯
- 100アメリカドル
- 130トルコリラ
- スマートフォン、バックアップ用携帯電話
- アフガニスタン、イラン、トルコで利用できるSIMカード
薬剤師
匿名希望(34歳) シリア出身
家族とともにトルコへ逃れ、そこで密輸業者に出会い、ヨーロッパへ向かう手はずを整えた。しかし、ギリシャへ向かうボートが転覆。救出されるまで立ち泳ぎを余儀なくされた。
- お金(濡れないように保護)
- 古い携帯電話(水に濡れ使用不可)と、新しいスマートフォン
- 電話の充電器2つとヘッドフォン
- 16ギガバイトのフラッシュドライブ(家族の写真もこの中に)
アーティスト
ヌール(20歳) シリア出身
ギタリストで画家のヌールは、トルコで以下のものを買った。
- 個人用文書が入った小さな袋
- ロザリオ(友人からの贈り物で、床には置かない)
- 時計(ガールフレンドにもらったけれど、旅行中に壊れた)
- シリア旗とパレスチナの形をしたチャーム、銀と木製のブレスレット(友人たちからの贈り物)
- ギターピック(1つは友人からの贈り物)
- 携帯電話とシリアのSIMカード
- IDカード
31人の大家族
アレッポ、シリア出身
7人の女性、4人の男性、そして20人の子供たちからなる大家族は、トルコからギリシャへ渡るボートが沈みかけた。彼らの所有するたった1つのバッグには、次のものが入っていた。
- シャツ1着、ジーンズ1着
- シューズ1足
- 洗面化粧品
- おむつ1つ、小さな牛乳の紙パック2つとビスケット少し
- 個人用文書とお金
- 生理用ナプキン
- 櫛
ハッサン(25歳) シリア出身
「これだけだ。2つしか持ってきてはいけないと言われた。替えのシャツ1着と、ズボン1着だ」
この写真プロジェクトに関するより詳しい情報は、medium.comで読むことができる。IRCへの支援はこちら。
この記事はハフポストUK版に掲載されたものを翻訳・編集しました。
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