2016年のアメリカ大統領選挙に共和党から立候補を表明しているドナルド・トランプ氏が8月27日、サウスカロライナ州での会見で出席者の一人に、自分の髪を引っ張らせ、カツラ疑惑を否定した。
これは言わば「人気取り」の良い例だ。この会見だけではドナルド・トランプ氏について何も分からないし、2016年の大統領選挙や、国が直面している問題について彼は何の態度も表明していない。しかし、それなりに面白いから広く報道される。共和党員でサウスカロライナ州議会下院・院内総務ブルース・バニスター氏の妻メアリー・マーガレット・バニスターさんがトランプ氏の髪を引っ張る映像は、確実にゴールデンタイムのニュースを独占するように狙ったものだった。
MSNBCは公民権運動活動家アル・シャープトンの「ポリティクス・ネイション」や、テレビ司会者クリス・マシューズの「ハードボール」、「レイチェル・マドー・ショー」、政治評論家ローレンス・オドネルの「ザ・ラスト・ワード」といった番組でこの映像を流した。
CNNも同じくらいひどかった。「エリン・バーネット・アウトフロント」、「ウォルフ・ブリッツァーのザ・シチュエーション・ルーム」、「ジェイク・タッパーのザ・リード」、「アシュリー・バンフィールドのリーガル・ビュー」などでは貴重な放送時間をトランプの髪型を視聴者に伝えるために費やした。CNNのプロデューサー、ノア・グレイはバニスターさんの独占インタビューまで行った。バニスターさんはトランプ氏がヘアスタイルを作るために「ヘアジェルとヘアスプレーを併用している」と語った。
Foxニュースの司会者ショーン・ハニティーや、グレーター・バン・サステイン、ニール・カブートも映像を流した。
彼らの名誉のために言っておくと、地上波の放送局はトランプの髪型を議論する時間をずいぶん短縮していた。ABCやNBC、CBSのどれも夜のニュースでは報道していたが。
問題なのは、2016年の選挙報道がいくらか軽くなってしまったことや、各局がとにかくそれを放送してしまったことではない。このくだらない話題がニュースで何度も繰り返して放送され、本質的な内容を締め出してしまったことだ。トランプ氏が使っていると思われるスタイリング剤を議論したり、彼のヘリコプターをボーッと見つめているのに費やした時間で、国の将来を形作る本質的な政策討議を放送することもできたはずだ。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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