フィリピンの若いきょうだい、アイサ・ミヘノさんとラファエル・ミヘノさんが、電気を使えない貧しい人たちのために、塩水と金属棒で作動するランプ「SALt」(Sustainable Alternative Lighting=持続可能な代替照明の略。「塩」の意味もある)を発明した。
フィリピンでは50世帯に1軒が、灯油ランプに頼って生活しているという。バタンガス州リパにあるデ・ラ・サール大学工学部の講師で、「グリーンピース・フィリピン」のメンバーであるアイサさんは、フィリピン農村部の人たちにとって、ランプ用の灯油の入手は困難が伴うことだと話す。
「農村部で暮らす人々のほとんどはとても貧しいため、ランプ用の灯油を手に入れるために何時間も歩かなければいけません」と、アイサさんはフィリピンのテレビ局「ABS-CBNニュース」の取材で語っている。
世界の多くの人々が、灯油ランプに依存した生活を送っている(出典:SALT)
ミヘノ兄弟が2014年に作ったSALtは、お金がかからず持続可能な解決策となるかもしれない。
SALtは、塩水を毎日詰め替えれば8時間使用することができる。必要なメンテナンスは半年ごとに金属棒を取り替えるだけで、塩水は海水も使えるという。
塩水が燃料なので、灯油ランプのように火事の危険もなく、バッテリー駆動型ランプのような廃棄物の問題もない。
SALtの使い方
SALtにはUSBポートがあり、携帯電話も充電できる
ハフポストUS版の取材に対して、SALtの開発チームは、今後NPOと協力して、このランプを電気が利用できないフィリピンの農村部に広めていきたいと語った。NGOなどの支援を受けていない貧しい家族の場合、約20ドルで提供したいという。
一般消費者向けの小売価格は若干高くなるようだが、ランプが1個売れるごとに、貧しい家庭にランプがひとつ贈られる。
SALtの開発によって、ミヘノきょうだいは韓国で開かれた「スタートアップ・ネイションズ・サミット2014」でKOTRA(大韓貿易投資振興公社)賞などを受賞した。また、フィリピンの「アイデアスペース2014」でも資金を獲得している。
「スタートアップ・コンペティション2014」で受賞したラファエルさんとアイサさん
ラファエルさんとアイサさんは、SALtは「単なる製品ではなく、社会的な運動なのです」と語っている。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:阪本博希、合原弘子/ガリレオ]
【関連記事】
ハフポスト日本版ライフスタイルはTwitterでも情報発信しています。@HPJPLifestyle をフォロー