(8月14日から続く)
■クーデターの陸軍将校、近衛師団長を殺害
0:30~2:00
森赳・近衛師団長
皇居を護衛する森赳・近衛師団長に対し、「ポツダム宣言受諾阻止」のためのクーデターを企てた一部陸軍将校が、決起に加わるよう説得を試みる。色よい返事をしない森と、同席していた白石通教・第二総軍参謀を、畑中健二少佐、窪田兼三少佐、上原重太郎大尉が斬殺。「皇居を包囲して通信網を遮断し、東京放送局を占拠する」と、偽の師団長命令を発する。(宮城事件)
玉音放送の録音を終え帰宅途中の下村宏・内閣情報局総裁や東京放送局員ら17人が近衛師団の兵士に監禁される。目的は玉音放送を録音したレコード(玉音盤)を奪取することにあった。近衛師団の部隊が宮内省内で玉音盤の捜索を始める。
宮内省で雅楽を学んでいた嶋田英康さん(87)は防空監視隊員として敵機を警戒していた。
防空本部から呼び出され、はしごで地面に下り立った瞬間、「誰だ!」と背後から声をかけられた。同時に、尻に鋭い痛み。近衛兵が銃剣を突き付けていた。
そのまま防空本部に連行されると、そこには宮内省の職員ら約50人が数人の近衛兵に銃剣を突きつけられていた。
1人の将校が軍刀で電話線を切り始めた。外部との連絡がとれないようにするためだった。嶋田さんは、身動きがとれず、反乱軍が鎮圧される明け方まで立ったまま過ごした。
(「玉音放送」原盤巡る宮城事件、元近衛兵が語ったその時:朝日新聞デジタルより 2015/08/14 16:18)
3:30
高嶋辰彦・東部軍参謀長、クーデター将校が発した偽の近衛師団長命令を取り消す。
4:30
畑中少佐の宮城事件に呼応した佐々木武雄・陸軍予備役大尉が、兵士・学生ら約40人の「国民神風隊」を率いて決起。首相官邸の玄関へ軽機関銃を乱射し、重油を撒いて火をつけて逃走する。鈴木貫太郎首相は私邸に宿泊しており難を逃れる。
東京放送局の放送会館を反乱軍が包囲。宿直職員を軟禁。反乱軍の声明を放送させるよう要求するが拒否される。
5:10
田中静壱・東部軍司令官、近衛師団に到着。反乱軍兵士の検挙を命じる。
■阿南陸相自殺、反乱軍は鎮圧へ
5:30
阿南惟幾・陸軍大臣
阿南惟幾・陸軍大臣が陸相公邸で割腹自殺。
「国民神風隊」、東京・小石川にある鈴木貫太郎首相の私邸に放火。首相夫妻は直前に襲撃情報を知らされ、脱出していたため難を逃れる。
6:00
昭和天皇、クーデター発生を知らされ「兵を庭へ集めよ。私が兵を諭そう」と述べる。
6:14
アメリカ大機動部隊のハルゼイ大将、太平洋艦隊司令長官から航空攻撃の中止命令を受け、日本本土を空襲していた攻撃部隊の指揮官に帰還するよう指示。
7:00
「国民神風隊」、東京・西大久保にあった平沼騏一郎・枢密院議長の私邸に放火。平沼は逃げて無事。
7:21
ラジオで再度「天皇陛下みずからの御放送」を予告。
7:35
蓮沼蕃・侍従武官長が昭和天皇に面会。クーデター鎮圧を報告する。
8:00
アメリカ東部時間(東部戦争時間)14日午後7時、トルーマン大統領がホワイトハウスで記者会見し、日本の降伏を正式に発表。8月14日が対日戦勝記念日「VJデー」となる。
(時間不明)
オーストラリアのハーバート・エバット外相兼司法長官、ラジオ演説で、国際戦争犯罪法廷で昭和天皇を戦争犯罪人として訴追すべきだとの意向を明らかにする。「天皇は単なる操り人形だったとは考えられない。裕仁天皇は日本を戦争に導き、慈悲なき戦いを遂行した」と主張。
10:30
最後の大本営発表。「わが航空部隊は8月13日午後、鹿島灘東方25海里において…航空母艦1隻を大破炎上せしめたり」
11:20
畑中健二少佐
クーデターを起こした畑中健二少佐と椎崎二郎中佐、皇居の芝生の上で拳銃で自殺。
11:30
放送局にいた氏名不詳の将校、終戦の放送を阻止しようとスタジオに乱入しようとして阻止される。
■そして「玉音放送」は無事放送された
12:00
レコードに録音された昭和天皇の「終戦の詔書」の朗読が、ラジオで全国放送される(玉音放送)。
クーデターに関与した古賀秀正・陸軍少佐、近衛師団司令部内で自殺。
皇居前で泣く女学生ら
朝鮮半島の京城(現・ソウル)では、日本の敗戦に伴い日の丸が降ろされた
15:00
皇居前の取材を盛り込んだ朝日新聞(東京本社版)8月15日付朝刊、印刷を終え発送。隣組を通じて各戸に配達される。
夕方
第五航空艦隊司令長官として、沖縄戦などで海軍の特攻作戦を指揮した宇垣纏・海軍中将、特攻機「彗星」に搭乗。彗星など11機で、部下ら16人と沖縄に特攻出撃し帰還せず。
鈴木貫太郎首相はこの日、昭和天皇に閣僚の辞表を提出、内閣総辞職した。
(おわり)
【訂正】2015/11/08 17:51
当初の記事で「頭部軍の参謀副長・小沼治夫少将」がスタジオに乱入しようとしたとありましたが、正しくは小沼少将とは別人の「氏名不詳の将校」でした。関係者の皆様にお詫びいたします。
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