7月初旬、テイラー・ウィルクスさんが目にしたのは、ガリガリに痩せていて、ほとんど毛もない状態のローズバッドという名前のピットブル。その犬は、ボロボロの状態だったが、とても無邪気で愛想が良かった。
「ローズバッドは初対面のときから、とてもかわいくて、愛情深かったわ。尻尾を振ってはキスを振りまいていて、生きていることを心底喜んでいるのが伝わってきた」とウィルクスさんは言う。
実は、そのときローズバッドが生きていたこと自体、幸運だったのだ!
6月末にジョージア州の動物保護施設で保護されたとき、ローズバッドの体は痩せこけ、肌はひどく感染していた。生後5カ月で、体重は20ポンド(約9キロ)未満しかなかった……。
これでは命が危ないと感じた動物愛護団体「ハウンズ・イン・パウンズ」が、ローズバッドを施設から引き取った。
「ハウンズ・イン・パウンズ」の副代表ピア・コロン・ウルトさんは、ローズバッドの様子を見て、これまでにかなり虐待を受けてきたのではないかと推測した。この犬はもっと良い扱いを受けて然るべき……と感じた。
「たぶん、ローズバッドが放置されていたのは1回や2回のことではありません。生まれてからずっとそうだったんでしょう」とウルトさんは言う。「放置されることが当たり前になっていたのです」
ローズバッドは動物病院に運ばれ、数週間入院して治療を受けた。
ある日、病院のスタッフが、ローズバッドを近所のガレージセールに連れていって、「ハウンズ・イン・パウンズ」の取り組みを紹介したり、団体の資金集めをしたりしていた。そこでローズバッドは、ウィルクスさんと出会い、人生が180度変わることになった。
ウィルクスさんとそのパートナー、アンバー・パウエルさんは、ジョージア州のフェイエットヴィルに住む大の動物好きで、すでに3匹の犬を飼って可愛がっていた。
「犬たちと家で遊ぶ時間が一番好き」というのがウィルクスさんの本音。「ありきたりかもしれないけど、たまらなく楽しくて!」
ウィルクスさんは、ガレージセールに連れていた子犬のボクサー犬、ルーシーが、初対面のローズバッドとはしゃぎ回るのを見て、この犬なら自分たちの飼い犬たちと上手くやっていけると感じたらしい。
「犬同士が、すぐに大の仲良しになったのよ」
二人はすぐさまローズバッドを引き取りたいと申し出た。
ローズバッドは、傷が癒え、里子となる準備ができるまで、一時的に彼らの家で一緒に暮らすことになった。
1カ月ほど経った後、ローズバッドの毛は生え戻り、体重は増え、 もっと他の犬と仲良くなっていた。ようやく自分の居場所を見つけた感じがした。
4匹の犬たちははしゃぎ回り、ソファの上でウィルクスとパウエルとたわむれた。ひとしきり遊んだ後、ルーシーとローズバッドは一緒に長い昼寝を楽しんでいた。
そんな様子だったので、ウィルクスさんは「ローズバッドとルーシーを引き離すのは辛いなぁ、って思うようになったの」と語る。
変わらず可愛らしいローズバッドは、日に日に自信をつけていた。
「私たちと会う前、それこそ救出される前のローズバッドがどんなにひどい目に遭っていたかを考えると、本当に心が痛むわ」とウィルクスさんは嘆く。
ウルトさんは、自然の成り行きでうまくいったことが、ローズバッドと一緒に暮らす上で大切なポイントになった感じている。「自然で大丈夫、むしろ自然に任せるべき」と。
もしもっと多くの人が里親になり、ボランティアをし、犬を育て、寄付をし、「毛のない、みすぼらしい犬」が実は良犬で、少しばかり助けが必要なだけだと気づいたら、ローズバッドのような境遇の犬たちが病気や危険に曝されることなく、安心して暮らすことができるようになるだろう。
「どんな犬でも助けられる権利があります。歩み寄って助けてあげられるかは、周りの人次第です」とウルトさんはコメントする。
ウィルクスさんは、手遅れになる前に自分たちがローズバッドに出会えて、ローズバッドが見違えるほど元気になり、本当に良かったと感じている。
「ローズバッドが人間に絶望する前に引き取られたからうまくいったのかもしれないし、ローズバッドの立ち直りが早かったのかも。どっちかは分からないけどね」とウィルクスさん。「でもどっちにしても、ローズバッドが素晴らしい犬であることには変わりはないわ!」
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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