油井亀美也さん、初めて宇宙ステーションで栽培した野菜を食べる

国際宇宙ステーションで初めて「宇宙で栽培した野菜の試食会」が開催され、日本の油井亀美也さんも宇宙で育ったレタスを味わった。

8月10日、国際宇宙ステーション(ISS)で初めて、宇宙で栽培した野菜の試食会が開催された。ISSに1年滞在しているアメリカ人のスコット・ケリー氏や、7月23日に宇宙に飛び立った日本の油井亀美也氏が、植物栽培システム「Veggie」を使って育てたロメインレタスを試食した。

アメリカ航空宇宙局(NASA)によると、実際に育てた野菜を試食するのは今回が初めてだが、ISSのチームが宇宙で初めて野菜を育て始めたのは、2014年5月だという。

2014年5月、ISSチームは種を小さな「苗床」に入れ、それをVeggieに入れて栽培を開始した。33日後に野菜は収穫されたが、分析のため地球に送られたので、宇宙飛行士たちの口に入ることはなかった。今回収穫された野菜は2回目の実験で育てられたもので、2015年7月8日に装置がセットされ、33日かけて育てられた。

試食に際しては、細かい指示が与えられている。レタスは「食用クエン酸をつけた消毒用の布」でしっかりと拭いてから食べなければならず、半分は凍らせて分析のため地球に送る。

この栽培実験は「Veg-01」と呼ばれており、野菜は緑、青、赤のLEDライトを当てて育てられる。

赤いLEDライトの下で育成されているレタス

1990年代にこの方法を開発したNASAケネディ宇宙センターのレイ・ウィーラー博士は、「植物の成長には、最低限青と赤の光が必要です」と説明する。

「植物は青と赤の光を、最も効率よく吸収しエネルギーに変換します」

「一方で、植物は緑の光を反射します。そのため、緑の光を当てると人間は、植物であることを認知しやすくなりますが、緑は青や赤ほど、植物の成長を促進させることはありません」

新鮮な野菜は、人間にとって欠かせないビタミンなどの栄養素を含んでいる。そのため、今後さらなる宇宙探査を計画しているNASAは、宇宙での野菜の栽培も視野に入れている。

NASAは将来、宇宙で食物を栽培する計画だ

また、栽培実験には植物が宇宙飛行士たちにどういう影響を与えるかを調べる目的もあるようだ。

NASAジョンソン宇宙センターの科学者、アレクサンドラ・ウィットマイアー氏は「今のところVeggieを使った実験は、植物が宇宙にいる人間に与える効果を調べる唯一の手段です」と話している。

地上では、植物があることで人間の健康や作業効率が向上することが実験で示されており、「宇宙で長期的な探査をする時に、植物がストレスを和らげる可能性があります」とウィットマイアー氏は述べている。

この記事はハフポストUK版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:湯本牧子、合原弘子/ガリレオ]

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