オバマ大統領は8月3日、ホワイトハウスでの会見でナショナル・ジオグラフィック誌の世界地図「ナショナル・ジオグラフィック アトラス」の最新版に加えられた改訂が「ソビエト連邦崩壊以来、最も大きな変化」だと語った。
その改訂とは、北極の海氷が大幅に小さくなったことだ。下のGIF画像は、1999年から2014年までの段階的な氷床の変化を示しているが、地球温暖化の結果、海氷が溶けて大幅に縮小しているのがわかる。
この改訂に関して、ナショナル・ジオグラフィックのクリスティン・デラモア氏は次のように述べている。
地球温暖化で海水温が上昇するのに伴い、北極の海氷は減少し続けています。アメリカ航空宇宙局(NASA)によれば、1970年代後半以降、北極の海氷は10年に12%のペースで後退しており、そのペースは2007年以降さらに悪化しています。
また、2014年5月の海氷面積が5月としては史上3番目に小さかったことが、アメリカ雪氷データセンター(NSIDC)の衛星記録からわかっています。
北極の海氷の減少が進んでいる原因は「フィードバック・ループ」と呼ばれる現象です。NASAによれば、薄い氷は厚い氷よりも太陽光の反射率が低いため、熱は氷の薄い場所でより海水に吸収されます。そして、熱が吸収されるとさらに氷が薄くなりますます海水が温まるのです。
また、薄い海氷は厚い海氷よりも平らなため「メルトポンド」とよばれる水たまりが表面にできやすく、そのために太陽光をより吸収して、海水を加熱します。
最新の研究も、海氷が減り続けている事実を裏付けている。8月3日に発表された研究によれば、現在世界の氷河は、120年以上にわたる観測史上もっとも速いペースで溶けているという。また、2015年2月には、冬の北極の海氷面積が観測史上最小を記録した。
こうして溶けた海氷は、海水となり移動する。その結果、私たちが海面上昇の問題に直面することは間違いない。NASAの気候変動分析チームを率いてきたジェームズ・ハンセン博士によれば、今後50年で海面が3メートル上昇する可能性があるという。
海氷の減少がソビエト連邦崩壊以来、最も大きな変化だと述べたオバマ大統領は、同8月3日、気候変動対策の「重要な一歩」として、アメリカの火力発電所の排出規制を強化し、二酸化炭素排出量を2030年までに32%減少することを求めると発表した。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:梅田智世/ガリレオ]
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