8月6日、広島市は70回目の原爆の日を迎えた。原爆投下から70年目を迎えて、平和記念式典や広島カープの「ピースナイター」、元安川での灯籠流しなど様々なイベントが開かれ、14万人以上と推計される原爆投下の犠牲者の鎮魂を祈る。
「原爆の日」の広島を初めて訪れた記者が、市内を歩いて感じたことを随時報告する。
【取材を終えて】
真夏の広島は歩くだけで汗だくになり、何枚もシャツを取り替えることになった。ヘルメットをかぶった新左翼から、新興宗教、学生連合とさまざまな団体がシュプレヒコールやデモ行進をしていた。しかし、原爆とは直接関係のない「原発再稼働反対」「安保法制反対」「安倍政権を潰せ」といったスローガンも多かった。「原爆の日」が、各団体の政治的アピールの場に使われている感も否めなかった。まるで「原爆フェス」だ。実際の被爆者の遺族とおぼしき人々が、合唱や黙祷など静かに追悼をしているのと比べてギャップが際立っていた。
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一瞬、ハッとしたのは平和記念式典の取材を終えて、冷水コーナーに立ち寄ったときのことだ。無料で水を配布しているのだが、「水を…水を…求めて逝った人のために生きてるあなたがどうぞ水を!」と注意書きがあった。今日の暑さも、ある意味では70年前に原爆の熱風に巻かれて亡くなった人々に対する、ささやかな追体験なのかもしれない……。冷水入りのコップとともに、原爆投下時の地獄絵図を目の前に突きつけられたような気がした。(2015/08/06 23:57)
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