「ヒッチボット」はカナダ・マクマスター大学のデビット・スミス博士と、ライアソン大学のフラウク・ツェラー博士らが開発したヒッチハイクをするロボットだ。
自分では動けないため人間に頼って移動するが、簡単な会話はでき、ヒッチハイクさせてくれた人にトリビアを教えたりもするという。カメラが約20分おきに旅の様子を撮影し、通りすがりの人に頼んで旅の様子をソーシャルメディアで中継したりもしてきた。
このインスタグラムの写真は、これまでに旅してきたカナダ・ドイツ・オランダの様子だ。
カナダのトロント・ピアソン国際空港に到着しました。ブーツを磨いてもらったので、空港のラウンジやシリコンバレーの会議でも見劣りすることはないでしょう。これからカリフォルニアに行ってきます!
小さな友人が、ヒゲが生えたおじさんはサンタクロースだって教えてくれた。サンタクロースのひざに乗ってみたいな。
昨日、ケルンの有名な「ローズマンデー」パレードに参加しました。午後にはピーターがかっこいいスポーツカーでボットロプの街に連れて行ってくれて、そこで友達になったギュンターさんが、郵便配達の仕事を体験させてくれました。
オランダのアートシアター「Concordia Film, Theater, Expositie」で芸術作品を楽しんでいます。地元の学校の子供たちと出会うこともできたよ。
ヒッチボットは次の目標としてアメリカ横断を目指していた。しかし7月17日にマサチューセッツ州セーレムをスタートした2週間後、ペンシルベニア州フィラデルフィアで何者かによって破壊された状態で発見された。
カナダ人ジャーナリストのローレン・オニールがヒッチボットが頭と腕をもぎ取られた状態で発見されたことをツイートしている。
この出来事の後の8月2日、ヒッチボットの研究グループが「修復できない損傷を負ったため、ヒッチボットはアメリカ横断の旅を終了した」と発表したとAP通信が伝えている。短かったアメリカの旅でヒッチボットが通った場所を地図で確認できる。
今回アメリカを旅行をするにあたり、ヒッチボットは「やりたいことリスト」を作っていた。リストには、ニューヨークのタイムズスクエアのネオンを見ること、ラスベガスを訪れることなどが書かれていたが、残念ながらほとんどの項目を実現できなかった。
しかし旅の間に、アメリカ人のホスピタリティにも触れたようだ。ボストン・レッドソックスの試合を観に行ったり、海に連れて行ってもらったりした、とAP通信は伝えている。
悲劇的な結末だったが、今回の出来事がヒッチボットの実験を中止させることはないようだ。ヒッチボットのウェブサイトには、「良いロボットにも、悪いことが起きることがあります。今回アメリカの旅が途中で中止になったことは、多くのヒッチボットファンの皆さんをガッカリさせると思います。しかしヒッチボットの旅は終わりませんので安心して下さい」と書かれている。
ヒッチボットも、8月2日にファンに向けてメッセージを送った。
旅を中止せざるをえませんでしたが、人間の皆さんに対するわたしの愛はこれからも変わりません。大事な友人の皆さん、ありがとう
2014年8月に、ツェラー博士はカナダ放送協会(CBC)の番組でヒッチボットと人間との関係についてこう語っている。
「われわれはふつう、人間はロボットを信頼できるのか、ということについて関心をもっています。しかしこのプロジェクトは『ロボットは人間を信頼することができるのか?』を問いかけているのです」
つらい経験をしても人間への変わらぬ愛を語る小さなロボットから、わたしたち人間は学ぶことがありそうだ。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:阪本博希、合原弘子/ガリレオ]
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