アメリカのフィラデルフィア小児病院は7月28日、世界で初めて、子供の両手の移植手術が成功したと発表した。手術を受けたのは、8歳のシオン・ハーヴェイくん。手術からまだ1カ月も経っていないが、既に、少し手を動かすことができる状態だという。
シオン・ハーヴェイさん
シオンくんは2歳のときに重い敗血症にかかり、助かるために両手・両足を切断しなくてはなかった。肝臓にも影響が出たため、その2年後には、腎臓の移植手術も受けていた。訓練によって、腕を手のように動かしてスマートフォンを操作したり、義足でジャンプしたりすることができるほどになっていたが、シオンくんには夢があった。
「いつか、フットボールを投げたい」。
少年の夢をかなえようと、12人の外科医を含む40人からなる医療チームがつくられ、7月上旬に移植手術が行われた。シオンくんが既に腎移植を経験し、免疫抑制薬を服用していたことも、移植の可能性が広がることにつながっていた。
匿名のドナーから提供された左右の手は、2組に分かれた医師らによって同時に移植が行われた骨や血管をつなぎ、血液の循環が確認されたあとに、腱や筋肉、神経などをつなぐという大手術は、11時間にも及んだという。
手術の様子
両手同時の移植は、2011年に成人への手術が成功して以来、25件行われている。しかし、子供への手術は複雑さを伴い、シオンくんが初めてだった。
ABCニュースによると、28日に行われた記者会見で、医療チームを率いたスコット・レビン博士は「シオンは泣くことも、痛がることもしなかった」と、シオンくんの忍耐強さを褒めた。
シオンくんと母親のペティ・レイさん
シオンくんも両手に包帯を巻いて会見に登場。会見に出席した家族らに「僕のデコボコ道を支えてくれて、ありがとう」と感謝した。シオンくんにとって家族とは、「道から外れそうになっても、必ず受け止めてくれる希望と信頼」を意味すのだという。
シオンくんはCBSニュースに「これだけは言える。最後まで夢を諦めてはいけない。僕の夢だって、かなったんだから」と述べた。
なお、シオンくんの次の夢は、妹や子犬と遊ぶことだという。シオンさんは記者会見の後、「僕が世話をするんだ」と母親に笑った。
「お母さんが散歩させなくてもいいんだよ。僕がするんだ」。
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