オランダ国立バレエ団にのスターバレリーナ、ミケーラ・デプリンス。世界的に活躍する彼女が、かつて戦争孤児だったことを知っているだろうか。
ミケーラは1995年、西アフリカのシエラレオネの小さな村で誕生した。男の子が歓迎されるこの国で、生まれつきの皮膚病で、肌にまだら模様を持って生まれた。
オランダ国立バレエ団のミケーラ・デプリンス
そんなミケーラを待っていたのは、過酷な体験だった。
内戦でお父さんを殺され、病気で母さんを失う。国連の難民キャンプや親戚のおじさんの家を経て、3歳で孤児院で暮らしはじめる。
シエラレオネの戦争孤児だったミケーラ。『夢へ翔けて』より
平穏とはほど遠い毎日を過ごす彼女にとって、唯一の希望は、拾った雑誌の表紙のバレリーナの写真だった。
ある日、孤児院は突然、反政府勢力の本部に占拠される。そして彼女は、アメリカ合衆国に暮らす夫婦の養子になることになった。新しいお母さんの前で、ミケーラは部屋をくるくる踊りまわり、裸足のつま先で立った。
「まあ、バレリーナになりたいのね!」
アメリカに渡った彼女は、10歳からバレエのレッスンを受けられるようになったが、今度は人種による差別を目の当たりにする。
しかしミケーナは、戦争孤児になっても人種の差別を受けても、バレリーナの夢を諦めることはなかった。努力によって、未来の扉を開けていったのだ――。
そんな彼女の半生が『夢へ翔けて』(ポプラ社)として6月に発売された。17歳で自伝で書いたミケーラは、こう綴っている。
「わたしはさまざまなことにめぐまれてきたけれど、とりわけ、たくましく希望を持ちつづける力にはずっとめぐまれてきた。希望があったからこそ、アフリカで虐待や飢えや苦痛や恐ろしい危険に直面しても、生き抜いてこられたのだ」
彼女が大切にしてきた希望を持つ力について知りたい人は、本書を読むといいだろう。ミケーラの養母は、5人の息子を育てたのち、西アフリカから6人の娘を養女として迎えている。本書は、アメリカのMGMが映画化権を獲得、映画化されることが決まっている。
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