[ウィーン 14日 ロイター] - イランと欧米など関係6カ国は14日、イランの核問題で最終合意に達した。核開発を長期的に制限する見返りに制裁を解除する。10年以上にわたる交渉に終止符を打つ歴史的成果とみられ、今後の中東情勢や30年近く敵対してきた米イランの関係に影響を及ぼす可能性がある。
合意によりイランは向こう10年超、ウラン濃縮などの核開発活動が縮小、制限される。具体的には、1)遠心分離器を3分の1に縮小、2)ウラン濃縮度は15年間で3.67%以下に制限、3)濃縮ウラン保有量は15年間で300キログラム以下に制限、4)ウラニウム研究開発は15年間ナタンツ施設に限定、5)兵器級プルトニウムの生産禁止──など。
さらにイランが合意内容に違反した場合、65日以内に制裁が戻される(スナップバック)措置も盛り込まれた。
こうしたなか、国際原子力機関(IAEA)は14日、イランの核開発疑惑の年内解明を目指すロードマップ(工程表)について同国と合意した。イランの核開発に関する「軍事的側面の可能性(PMD)」に関する最終報告の取りまとめが制裁解除の前提条件となる。
天野之弥事務局長は、今年12月15日までに自身が「すべての問題の解決策に関し、最終報告書を提出する」と述べた。IAEAが求めているテヘラン近郊のパルチン軍事施設への査察団の立ち入りについては、別途調整するという。
オバマ米大統領は今回の合意を「さらなる希望に満ちた世界」への一歩と評価。「これで新たな方向に向かって歩むきっかけができた。われわれはこの機会を逃してはならない」と語った。
イランのロハニ大統領は「わが国に対する専制行為が終わり、世界との協力関係が始まった」と述べた。一方、イスラエルのネタニヤフ首相は今回の合意を「歴史的な過ち」だと批判した。
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