映画監督の宮崎駿さんは7月13日、安倍首相の政治姿勢について「『憲法の解釈を変えた偉大な男』として歴史に名を残したいと思っているのでしょうが、愚劣なことだ」と厳しく批判した。
この会見は、都内のスタジオジブリで日本外国特派員協会が会員限定で開催した。アメリカ軍の辺野古基地を沖縄県名護市に建設することに反対する「辺野古基金」で、宮崎さんが共同代表を務めていることを受けて、外国メディアから、沖縄のアメリカ軍基地の問題や、与党が国会に提出した安保法制への感想について質問が飛んだ。
安倍内閣は1日の臨時閣議で、集団的自衛権を行使できるよう日本国憲法第9条の解釈を変更する閣議決定をした。宮崎さんは、このことを念頭に「愚劣」と表現した模様だ。該当部分の記者との詳しいやり取りは以下の通り。
——イギリスのTIMES誌です。安倍首相に関しては、よく分からない部分があります。たとえば原発問題などの世論調査を見ると彼の人気は低いが、選挙では自民党が勝ってきました。宮崎監督もどちらかというとリベラルに属していると思いますが、なぜ日本の左派の人々は政治的に大きな力を発揮できないんでしょうか?
宮崎駿さん:「民主党の最初の総理は、沖縄の基地の問題についても日本全体で背負うべきであって、『沖縄だけに負担させるのは間違いである』と、はっきり言った方です。でも、たちまち党内の勢力争いの中で、引きずり降ろされてしまいました。その後、地震と原発が立て続けに(日本を)災厄が見舞って、その混乱の中で、とうとう自民党政権がずっとやりたくもできなかった消費税(引き上げ)を民主党が決めるハメになってしまったんです。この結果、長い政治的な無力感と不信感がこの国にはびこったのだと思います。自民党は過半数以上の支持を得たのではなくて、多くの人間が投票しなかったことによって、天下を取ったんです。ですから、これはまた変わります。永続的なものではないと思います。安倍首相は自分が『憲法の解釈を変えた偉大な男』として歴史に名を残したいと思っているのでしょうが、愚劣なことだと僕は思っています」
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