全財産を寄付すると発表したサウジアラビアの王子、最初にお金を使ったことは?

個人資産320億ドル(約3兆9500億円)をすべて慈善事業に寄付すると発表した、サウジアラビアのアルワリード王子。そのアルワリード王子が最初に実施する慈善活動が明らかになった。

サウジアラビアのアルワリード・ビン・タラール王子(60歳)は7月1日、個人資産320億ドル(約3兆9500億円)をすべて慈善事業に寄付すると発表した

寄付はイスラム教徒かどうかに関係なく、世界中の災害救援活動や児童養護施設の建設、女性の権利向上のための活動など「本当に支援が必要な人たち」のために使われると王子は話している。

その太っ腹なアルワリード王子が最初に着手する慈善活動の具体的な内容が明らかになった。それは、地元サウジアラビアの貧しい人々に、住宅1万軒と自動車1万台を10年間にわたって寄付するというものだ。

「毎年1万台の自動車と1万軒の住宅を、今後10年間にわたってサウジ国民に寄付します。応募はこちらから:http://www.alwaleedphilanthropies.org/grants/」


しかし、ここで一つ疑問が湧く。王子は「本当に支援が必要な人たち」に支援をすると約束したが、サウジアラビアの国民は、果たして支援が必要な人たちなのだろうか?

サウジアラビアは1人当たりの国内総生産が約5万2800ドルと高く、世界のトップ20に入る国だ。また、世界銀行が2013年に実施した調査によれば、サウジアラビアは、貧困率が世界で10番目に低い。

しかし、寄付された王子の資産を管理する慈善団体「アルワリード財団」によれば、サウジアラビアの多くの家庭は、高騰する住宅価格と、公共交通料金に悩まされているという。

また、サウジアラビアの英字紙Saudi Gazetteも「サウジアラビアの家庭の大半は、限られた生活費で暮らす若年層で、彼らにとって住宅費用や交通料金は、大きな負担になっている」と伝えている。

そういった人たちにとって、住宅と自動車の寄付は大きな助けとなるだろう。王子は今回の支援を「サウジアラビアとサウジアラビア国民に対する感謝の気持ちを伝えるためのものだ」と述べているとアラビアン・ビジネス誌は伝えている。

それにしても、毎年1万台の自動車と1万軒の住宅を10年間続けて寄付するには相当なお金がかかりそうだが、アルワリード王子は一体どれくらいの資産を持っているのだろうか。

アルワリード王子は「キングダム・ホールディング・カンパニー」という持株会社を経営しており、シティグループ社や、ルパート・マードック氏が経営していたニューズ・コーポレーション社、Twitter社などに投資している。

ブルームバーグ社がリアルタイムで更新する長者番付「ブルームバーグ億万長者指数」によると、2015年7月8日付けのランキングで世界22位の富豪だ。

これほどの資産があれば、1万台の自動車と1万軒の住宅を10年間寄付するくらいは、大したことではないのかもしれない。

アルワリード王子のように資産の全額ではないが、ビル・ゲイツ氏やウォーレン・バフェット氏など、資産の半分を慈善活動に寄付する億万長者はいる。一部をご紹介しよう。

この記事はハフポストCA版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:丸山佳伸、合原弘子/ガリレオ]

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