【岩手・中2自殺】「しんでいいですか」「もう生きるのにつかれてきた」ノートにつづった苦悩

生徒と担任教師がやりとりしていた「生活記録ノート」の記述からは、悩みを抱えてもがく生徒の姿が浮かび上がる。

「しんでいいですか」 ノート、悩みもがく中2生徒の姿

亡くなる前に男子生徒が書いていたノート。「氏(死)んでいいですか?」との記述がある。その下には担任教師から「どうしたの?」との問いかけがある

岩手県矢巾町の中学2年の男子生徒(13)が電車にはねられ死亡した事故は、いじめを苦に自殺した可能性がある。生徒と担任教師がやりとりしていた「生活記録ノート」の記述からは、悩みを抱えてもがく生徒の姿が浮かび上がる。

学校によると、ノートは中学校の生徒全員が毎日担任に提出するもので、その日を振り返っての感想や担任へのメッセージを書き込み、担任がコメントを書く。亡くなった生徒も4月からほぼ毎日、記録欄に記述を残していた。

4月7日には「今日は新しい学期と学年でスタートした一日です。でだしよく、終わりよくしたいです」と、新学期に臨む決意を書いている。

その後、宿題や部活動の話が続いていたが、17日、「最近○番の人に『いかれてる』とかいわれました」との記述が現れた。20日には「最近家でも学校でもイライラするような気がします」の後に「だったら死にたいぜ☆」と、自殺をほのめかす文言が出てきた。

5月12日には特定の生徒の名前を挙げ、「○○がさいきんしつこいです」と書いた。翌13日は「づっと暴力、ずっと悪口、やめてといってもやめないしもう学校やすみたい」と、暴力を受けている記述が現れた。

6月に入ると、以前名前を挙げた生徒を殴るなど、けんかをした記述が出てきた。「実はボクさんざんいままで苦しんでたんスよ? なぐられたりけられたり首しめられたりこちょがされたり悪口言われたり!」(8日)。「もう死にたい」(10日)。

そして28日。「もう生きるのにつかれてきたような気がします。氏(し)んでいいですか」と自殺をほのめかした。最後の記述となった29日は「ボクがいつ消えるかはわかりません。ですが、先生からたくさん希望をもらいました。感謝しています。もうすこしがんばってみます。ただ、もう市(し)ぬ場所はきまってるんですけどね」。

生徒はこの6日後、父親に「買い物に行ってくる」と言い残して家を出た後、亡くなった。

ノートには体調不良を訴える記述が多く書かれていた。テストを不安がる記述や、ゲームやお笑い芸人の話、部活の試合に勝って喜ぶ様子の記述もあった。

一方、担任のコメントは、生徒の体調を気遣ったり励ましたりしているものが目立つ。生徒同士のトラブルを気にかけ対処しようとする姿勢も示している。

校長は7日夜、これらの記述から「いじめの可能性があったことは否定しない」としつつ、担任がどれだけ問題視していたかについては「文字以外にも言葉や表情で意思疎通があった可能性がある」と明言を避けた。

8日、町内では生徒の葬儀が営まれ、父親(40)は「ノートを読むと先生が生徒に興味がないと感じる。学校は事実を明らかにしてほしい」と話した。(斎藤徹、金本有加)

(朝日新聞デジタル 2015/07/08 23:25)

(朝日新聞社提供)

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