円谷英二の生誕114年 GHQが実写と思い込んだ真珠湾攻撃の特撮とは?(動画)

1942年に公開された「ハワイ・マレー沖海戦」は、真珠湾攻撃の特撮シーンのあまりにリアルな描写に、GHQも「本物の記録映像」と思い込み検閲対象になったという。

2015年7月7日、「特撮の神様」と呼ばれた故・円谷英二(つぶらや・えいじ)の生誕から114周年を祝って、Googleのトップページのロゴが特別バージョンに変更された

円谷英二は、怪獣映画「ゴジラ」(1954年)の特撮を手がけ、その迫力で世界を震撼させた。根強い人気を誇る「ウルトラマン」シリーズを生み出した円谷プロダクションの創設者としても、知られている。

そんな彼にも苦い経験はあった。戦後まもなくGHQから公職追放処分を受けて、映画会社の東宝を一時退職している。戦時中に国策映画の制作に加わったのが原因だった。中でも、1942年に公開された「ハワイ・マレー沖海戦」は、真珠湾攻撃の特撮シーンのあまりにリアルな描写に、GHQも「本物の記録映像」と思い込んでいたほどだった。円谷に師事した映画監督・右田昌万(みぎた・まさかず)の著書には、以下のように書いている。

戦時中、「ハワイ・マレー沖海戦」で、特殊技術撮影の仕事を受けたはいいが、ハワイのアメリカの軍港の資料が全くない。円谷は新聞に載った、一枚の写真に写っていた民家からアメリカの軍艦の大きさを割り出し、そこから軍港の大きさをさらに推測して設計したという。円谷の想像で作られた真珠湾にもかかわらず、終戦後、そのリアルな特撮映像から、GHQに本物の記録映像と思われ、検閲に引っかかるほど、それはよく出来ていた。

(「円谷英二の言葉―ゴジラとウルトラマンを作った男の173の金言」文春文庫)

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