東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県南三陸町の防災対策庁舎が、震災から20年後にあたる2031年まで県有化されることになった。庁舎をその時期まで、県有化して維持管理するという宮城県の提案を受け入れることを佐藤仁町長が6月30日、正式に表明した。テレ朝ニュースなどが報じた。
震災の津波で、町の職員など43人が亡くなったとされる南三陸町の防災対策庁舎を巡っては、遺族や住民の間で「震災の記憶を後世に伝える震災遺構として保存すべきだ」という意見と、「庁舎を見るのがつらい。解体すべきだ」という意見に分かれていた。
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佐藤町長は「(パブリックコメントで)意見を提出した町民のおよそ6割が県有化に賛成だったことや、町議会で県有化すべきだという結論が出たことなどを踏まえ、最終的に提案を受け入れることにした」と会見で述べたという。2031年までに、町はその後も保存するかを議論していくことなる。
■「きちんとした説明がなかった」不満を持つ遺族
今回の決定について「解体を望む遺族会」副代表・千葉みよ子さんは、ハフィントンポストの取材に以下のように不安を露わにした。千葉さんは義理の息子を防災庁舎で亡くしている。
「これまで佐藤町長は解体を要望してきた遺族に対して、きちんとした説明をしてこなかった。それにも関わらず、県有化の方針を受け入れてしまったことを残念に思っています。2031年には私たちも町長も亡くなっているかもしれず、問題を先送りにするものです」
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