アメリカではショッピングモールが衰退しつつある。ニューヨーク・タイムズ紙によれば、アメリカの5分の1のショッピングモールは、空き店舗率が10%を超える。また、3%を超えるモールは空き店舗率が40%以上で、このままでは閉鎖に追い込まれると考えられている。2006年にこのような状況にあるモールは1%にも満たなかった。
消費者行動の分析をするエンバイロンセル社のパコ・アンダーヒルCEOは「モールが新たに建設されることはほとんどありません。その代わりに作られているのが『オール(all。何でも揃っているという意味)』です」と話した。
オールは、小売店や商業オフィス、居住スペースなど、全てが一緒になった総合施設だ。日本では食料品店やホームセンターなどを含めた大型ショッピングセンターが主流だが、ようやくアメリカにも総合施設化の波が押し寄せてきているようだ。オールがショッピングモールにとって変わる理由の一つは、若い世代の消費スタイルの変化だという。
「これまで、アメリカのほとんどのモールには、食料品店やドラッグストア、ホームセンター、クリーニング店など、生活必需品を取り扱うお店がありませんでした。しかし、2000年以降に成人したミレニアル世代の多くは、住居や職場、お店、ジム、それに医療機関などすべてが揃っていて、車に乗らなくても事足りるような場所を好みます」とアンダーヒル氏は語った。
市場調査会社フォレスターリサーチ社のアナリスト、サチャリタ・マルプル氏も「オールは、基本的には小規模モールの高級版だといえます。今後20年とは言いませんが、少なくとも今から10年ほどはモールはオールに変わっていくでしょう」と述べた。
ショッピングモール衰退のもう一つの原因は、インターネットの台頭だ。「なかでもAmazon」が大きな原因だとマルプル氏は話している。
アメリカ商務省のデータによれば、アメリカの2014年第4四半期のインターネット販売は前年の同時期に比べて14.6%増加し、796億ドルを超えた。
コンピューターも2005年に比べてはるかに高機能化し、ユーザーも10年前よりずっとコンピューターを使いこなせるようになっている。また、インターネットショップ数もここ10年で急激に増えた。
ホリデーシーズンのインターネット販売は、2005年以降順調に伸びている。
今後10年間のモールの運命を左右するのは、インターネットショッピングと、若い世代の消費スタイルの変化になりそうだ。
アンダーヒル氏は、アメリカの大規模モール運営企業の経営者向けの講演で、ミレニアル世代のニーズにこたえるため「モール全体の雰囲気や、商業スペースの運営管理体制を改善しなければいけません」とモール再編成の重要性を訴えている。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:遠藤康子、合原弘子/ガリレオ]
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