6月12日はILO(国際労働機関)が定めた「児童労働反対世界デー」だ。2015年も、児童労働に反対する活動家たちが子供たちの労働をなくすための取り組みに加わるよう呼びかけた。
児童労働は世界全体では減ってきているが、その流れに逆行する動きを見せる国がある。それはインドだ。
ユニセフ(国連児童基金)によると、インドでは5歳から14歳で就労している子供たちの数が約2800万人にのぼるという。しかしその数がさらに増えることが懸念されている、とニュースサイト「インディア・タイムズ」は伝える。理由は、5月13日にインドで児童労働を禁止・規制する法律が緩和されたことだ。
改正により、子供たちは放課後や休暇中に「家族が経営する会社」で働くことが許可されるようになる。しかし「家族が経営する会社」には家族とともに行う農作業や山林での重労働だけでなく、じゅうたん織りやマッチ箱製造まで、あらゆる種類の仕事が含まれている。
規制緩和の理由は子供たちに「起業家精神」を育んでもらうことだという。しかし児童労働に反対する人々は、規制緩和はこれまで積み重ねてきた恵まれない子供たちを支援するための努力を水の泡にし、経営者たちが安い労働力を手にして得をするだけだと非難している。
「1980年代以降に取り組んできた、児童労働撲滅の活動すべてが無駄になってしまう」と「農村地域の教育発展活動センター」のシャムシャド・カーン代表はインディア・タイムズに話している。「学校から子供たちの姿が消え、貧しい子供たちは、家族経営と銘打った簡易工場などでの労働に戻ることになるでしょう」
モディ首相にあてた抗議の書簡には、児童労働に反対する100名近い活動家たちが署名し、今回の動きは「時代に逆行している」と訴えた。
今回の規制緩和で特に懸念されているのは、子供たちが働くために学校をやめてしまい、教育が受けられなくなることだ。
2000年以降、世界の児童労働の数は3分の1ほど減少した。しかし子供の権利向上の活動に携わるインドのNPO「チャイルド・ライツ・アンド・ユー」によれば、インドでは、ここ10年で減少した児童労働の割合はわずか2.2%だ。このままのペースだと、インドで児童労働の問題が解消されるのに1世紀以上かかることになる。さらに、都市部で児童労働が2001年から2011年の間に53%も増加しているのは見逃せない事実だ。
この悪循環を断つために、少なくとも就業可能な最低年齢に達するまでは、すべての子供たちに無償の義務教育を導入することと、児童労働で教育を受けることができなかった子供たちに勉強する機会を提供することをILOは訴えている。
「児童労働の問題が無視され法で規制されなければ、本来なら教育を受けるべき子供たちがいつまでも働き続けることになるでしょう」とILOの報告書は述べている。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:遠藤康子/ガリレオ]
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