韓国の朴槿恵大統領が6月11日、アメリカのワシントン・ポスト紙の記者のインタビューに答え、慰安婦問題について日本との交渉が「最終段階」にあると話したことが、様々な憶測を呼んでいる。その反応と背景に迫った。
朴大統領は、MERS(中東呼吸器症候群)の感染者数が韓国で拡大の一途をたどっていることを理由に、当初から予定していたアメリカ訪問を延期した。日本関連のインタビューの一問一答は次の通り。
──韓国と日本は共通の利害関係が多いにも関わらず、第2次世界大戦の歴史認識を巡って非常に緊張した関係にある。関係をどう改善するか? 安倍晋三首相と会う意向は?
歴史問題について解決しなければならない課題がある。同時に、安全保障を巡る日韓の協力関係が、歴史問題で打撃を受けてはならない。安倍首相については、何度も会う機会があった。慰安婦問題については目に見える進展があり、交渉は最終段階にある。国交正常化50年が、非常に意味ある節目になると期待できる。
──慰安婦問題は解決すべき課題と、これまでも言及している。進展とは具体的に何か?
これは水面下の交渉であり、交渉の過程を明らかにすることは差し控えたい。
──安倍首相がなんらかの謝罪をすることを望んでいるか?
日本の歴史家は世界の歴史家と同様、日本の指導者が過去の清算をすることを望んでおり、それでこそ前進することができる。しかし過去の否定や、過去に起きたことを正当化する行為が、進展の可能性を狭めてきた。慰安婦問題については、すでに生存者は52人しかいない。亡くなる前に、被害者に癒しと名誉回復をするのが日本の義務だ。
(‘Eventually we will face a situation that will be beyond our control.’ - The Washington Postより 2015/06/11)
韓国政府幹部は朝鮮日報の取材に「まだ断定的に話す段階ではないが、肯定的な方向に向かっているのは確かだ」、別の関係者は「日本政府による謝罪などを期待できる。そのようなことをしないのであれば、全く意味がない」と述べたという。一方で「安倍政権との交渉はいつでもこじれる可能性がある」という外交筋の言葉も伝えている。東亜日報は「朴大統領が根拠なく言ったのではないのだから、安倍晋三首相が決断を下すことを期待する」との社説を掲載するなど、期待感がにじむ。一方で朝日新聞デジタルは、日本側の反応を以下のように伝えている。
日本側では「韓国は態度が柔らかくなってきた」(政府関係者)との声もある。ただ、突然の発言に「どういう認識で言っているのかわからない」(外務省幹部)と困惑が広がっている。
(「慰安婦協議が進展」米紙に朴大統領 日本側は困惑:朝日新聞デジタルより 2015/06/13 05:00)
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