東京都に新国立競技場の建設費用を負担させようと、新しい法律を作るのは憲法違反だ――東京都の舛添要一知事は6月11日、東京都豊島区で講演し、国が都に新国立競技場建設の費用負担を求める法律を作るのは「憲法違反だと」発言した。9日に下村博文・文部科学相が、都に費用負担を求める法律を作ることを検討していると述べたことへの牽制だとみられる。
テレ朝ニュースによると、舛添知事は憲法95条を引き合いに出し、東京都に費用負担を求める法律を作るためには、住民投票で過半数を得ることが必要だと指摘。「そりゃあ、東京都民も怒りますよ。国が勝手に東京都民だけにこうしろというのを決めるわけにいかない」と述べ、国が勝手に法律を作るのは、憲法違反にあたるとの考えを示した。
舛添知事は10日にも自身のブログを更新。憲法違反と指摘する根拠を次のように説明している。
一憲法学徒として、私は、すぐに日本国憲法95条が頭に浮かんだ。95条には、「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない」とある。地方自治を守る観点から、憲法はそのように定めているのである。
この憲法の規定を、下村大臣は理解した上で、東京都のみを標的にした特別法を考えているのであろうか。
(新国立競技場建設と憲法|舛添要一オフィシャルブログより 2015/06/10 09:01)
新国立競技場は当初、2012年にコンペで選ばれたイギリスの建築家、ザハ・ハディド氏がデザインした案で建設される予定だった。この案では天候にかかわらず使用できる開閉式の屋根と、約8万人を収容できるスタンドを備えていたが、設計通りにつくると、当初の予算の1300億円を大幅に超える3000億円まで工費が膨らむことが判明した。
日本スポーツ振興センター(JSC)はハディド氏の原案のまま建設することを諦め、原案のテイストを残しつつ、大幅に規模を縮小し、総工費1692億円の修正案で建設することを決めた。
しかし、資材の値上がりで総工費がさらに上回る可能性が高く、工期も2019年のラグビー・ワールドカップに間に合わないことから、整備費の減額や工期短縮を図るために、再度建設プランを変更することになった。下村文科相は5月18日の舛添知事との会談で、新国立競技場の屋根の建設はオリンピック終了後となる見通しを示した。また、当初計画していた8万人収容の一部(1万5000席程度)を仮設スタンドとし、オリンピック後には仮設スタンドを撤去して縮小されるという。
下村文科相は舛添知事に、周辺整備にかかる費用500億円の負担を要請。これに対し、舛添知事は国立の施設建設に地方自治体が経費負担することを原則禁止する地方財政法を根拠に、簡単に費用負担を行うことはできないと反論。下村文科相は、都に建設費用の一部負担を求める根拠法の整備を検討する考えを明らかにしていた。
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