自転車の死亡事故が相次ぐロンドン 安全強化を求めてダイ・イン

自転車で通勤する人が増えているロンドンでは、街を自転車にとってより安全な場所にするよう求める活動が起きており、6月8日の夕方にはダイ・イン(集団で地面に横たわって抗議する活動)が行われた。

自転車で通勤する人が増えているロンドンでは、街を自転車にとってより安全な場所にするよう求める活動が起きている。

ロンドンでは自転車と大型トラックの事故が続いており、5月29日には自転車で勤務先の病院へ向かう途中だった、32歳の理学療法士エステル・ハートシルバーさんが大型トラックにひかれて死亡した。彼女は今年イギリス国内で起こった自転車事故で亡くなった41人目の犠牲者だ。ロンドンでは6人目で、全員が大型トラックの事故で亡くなっている。

ハートシルバーさんを追悼するために、6月8日の夕方にロンドンのキャンバーウェルでダイ・イン(集団で地面に横たわって抗議する活動)が行われ、大勢の自転車愛好家たちが自転車とともに路上に横たわった

ダイ・インにはハートシルバーさんの姉のサリー・モートルマンさんも参加し、集まった人たちに「命を大切にして、自転車に乗り続けてください」と語りかけた。

イブニング・スタンダード紙によると、自転車事故をなくす活動をする団体「ストップ・キリング・サイクリスト」の共同主宰者ニコラ・ブランチ氏が「ロンドンのサザーク特別区に対して、自転車を保護するための専用レーンを早急に設け、交差点での左折事故を防止対策を作るよう求めます」と訴えた。

これとは別に開かれた追悼集会では、200人を超えるハートシルバーさんの家族と友人たちが、ショアディッチから市庁舎まで8kmのランニングを行った。

また、Twitterでも多くの人がダイ・インを支持した。

「自転車事故で6人が死亡した。全員、ラッシュアワーの時間帯に大型トラックにひかれた」「子供を守れ」


サザーク特別区も、自転車の安全環境を強化することに前向きなようだ。イブニング・スタンダード紙は、サザーク特別区議会の議長を務めるピーター・ジョン氏の言葉を伝えている。

「今後5年間で、数百万ポンドの予算を使ってサザーク特別区内での自転車の安全対策を強化していく予定です」

「ハートシルバーさんの悲劇的な事故がなぜ起こったのかについて申し上げるのは、時期尚早だと考えています。しかし、サザーク特別区議会はキャンバーウェルの道路を改善するための対策をロンドン市交通局と話し合っており、今後交通局とともに状況を改善していきます」

「自転車に乗る人たちの安全を確保するために、昨年ロンドン全域でラッシュアワー時にHGV(重量物運搬車両)の通行を禁止することを提案しました。ハートシルバーさんの事故のあと、その必要はいっそう高まっています。この措置について早急に検討するよう、今週中にもロンドン市長に求めるつもりです」

ロンドンでは、自転車に乗る人の数が過去最高を記録しており、ロンドン市交通局の調査によると、2014年のロンドン市内の自転車の交通量は、2013年と比べて11%増えた。

ハートシルバーさんのような悲劇的な事故が続いているが、全体的には自転車事故の犠牲者は減っているようだ。この調査によると、2013年の死傷者数は前年比で27%減り、2014年もさらに12%減って432人だった。ロンドン市が数年前から取り組む自転車専用レーン導入などの効果が現れているようだ。

この記事はハフポストUK版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:水書健司/ガリレオ]

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