集団的自衛権の行使容認を柱とする安全保障法制(安保法制)について、「合憲だとする憲法学者はたくさんいる」との考えを示していた菅義偉官房長官だったが、6月10日の衆院特別委員会で菅氏が実際に名前を列挙したのは、3人だけだった。菅官房長官は「数の問題ではない」と述べ、「憲法の番人は最高裁であって学者ではない」との考えを示した。
この日の答弁は次のとおり。
民主党の辻元清美議員:今、200人以上の憲法学者が、(安保法案は)憲法違反だとの声明を出している。一方で、官房長官は記者会見で『違憲ではないとする、著名な憲法学者もたくさんいる』とおっしゃっていた。では、『違憲ではない』とする憲法学者をいっぱい挙げてください。(この質問は)昨日お知らせしておきましたので。
菅:個別にいろいろ名前を挙げることは控えるべきだと思います。例えば、百地先生(百地章日大教授)、長尾先生(長尾一紘中央大名誉教授)、西先生(西修駒沢大名誉教授)がいます。
辻元:私は昨日、(この質問を)ご通告申し上げました。ここは勝負どころですよ、官房長官。「安保法制が『合憲である』と言っている憲法学者も、こんなにいるじゃないか」と、政府が示せなかったら、この法案は撤回された方がいい。
ですから官房長官、昨日、「ちゃんと調べてきてね」って言ってあったでしょう?他にどんな方がいますか?いっぱい挙げてください。
菅:数じゃないと思いますよ。憲法の番人は最高裁であるわけですから、その最高裁の見解に基づいた法案を提出させていただいたと。
----答弁ここまで----
なお、菅氏はこの後の答弁で、合憲とする憲法学者の数字を「10人程度」とする考えを示した。一方で辻元議員はこの日、中谷元・防衛相との答弁の中で、違憲だとする憲法学者の数について「6月5日は172人、10日現在で211人おり、4日間で39人増え、さらに増え続けている」と指摘している。
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