理論物理学者スティーブン・ホーキング博士(73)は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病状があまりに悪化したり、これ以上生産的な生活を送れないと感じたら、医師の幇助(ほうじょ)による自殺で、人生の幕を閉じることも考えると語った。
イギリスのガーディアン紙によると、ホーキング博士はBBCの番組でコメディアンのダラ・オブライエン氏に「意思に反して人を生かし続けることは最大の侮辱です。私はひどい苦痛を感じるようになったり、何にも貢献できず周りの人にとって単なるお荷物になっていると感じたりしたら、幇助による自殺を考えるでしょう」と語った。
しかしテレグラフ紙によると、ホーキング博士は一方で「もっと多くの宇宙の謎を解明するまでは、絶対に死にたくない」と話したという。
これまでも、ホーキング博士は幇助自殺について言及している。オンラインマガジン「Slate」によると、2014年、ホーキング博士と南アフリカのデズモンド・ツツ司教は、余命6カ月以下の末期患者に対しして、医師が致死量の薬品投与を認める法案を強く支持した。
現在のイギリスでは、幇助自殺は違法である。
アメリカでも2014年11月、末期の病を患っていたブリタニー・メイナードさんが、オレゴン州の尊厳死法の下で自らの人生を終わらせたことで、この問題は大きく注目を集めた。亡くなるまでの数カ月間、メイナードさんは患者の権利を強く主張していた。
「私は死にたくない。でも死にかけています。だから私は自分の意志で死にたいのです」。彼女はCNNへのブログの投稿で、そう記している。
イギリスの公訴局長は2014年10月、末期患者が自ら命を絶つのを助けた医師や看護師が刑事責任に問われる可能性は低くなるだろう、と声明を出している。
自身の半生を描いた映画「博士と彼女のセオリー」がアカデミー賞にノミネートされたホーキング博士は、1980年代に、「息を止めること」で自殺を試みたが「呼吸の反射が強すぎて」失敗したと2014年BBCに対して語っている。テレグラフ紙によれば、現在の彼には一切痛みはないものの、体の位置が調整できないことで時折不快感を覚えることがあるという。
「私たちは死を選ぶという個人の自由を奪うべきではありません」BBCに対してホーキング博士はそう語った。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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