睡眠不足は、仕事への集中力を妨げ、不安障害や気分障害のリスクを高めるだけではなく、外見にも影響を及ぼすらしい。最新の研究で、理想的な1日の睡眠時間といわれる7~8時間を下回る時間しか寝ていない女性は、早く寝るようにした場合と比べて、シワやシミが増え、毛穴が開く傾向があることが明らかになった。
この実験を行ったのはイギリスの寝具メーカーBensons for Beds社。イギリスの各地から30人の女性を集めて(そのうちの1人はスーパーモデルのジョディ・キッド)まず8時間の睡眠を取ってもらい、写真を撮影して肌の分析を行った。
そしてその後に今度は5日間続けて6時間睡眠をとってもらい、もう一度写真撮影と肌の分析を行った。
8時間睡眠を取った後(左)と、5日連続で6時間睡眠だった後(右)のジョディ・キッド
その結果、彼らの肌には違いが現れた。
6時間睡眠を続けた後、参加者たちのシワの数は平均で45%増えていた。またシミの数も13%増えており、目に見える部分では7%増加した。肌の赤みも8%増え、それが見て分かる部分は5%以上増えていた。
キッドさんは「子育てしながら働いている私にとって、理想的な7~8時間の睡眠を取れないのは普通のことです」と、自分の写真を見ながら話した。「やることがたくさんあるので、睡眠不足が肌にどんな影響を与えるかなんて、あまり考えたことがありませんでした」
「撮影中にかなりメイクをすることもあるため、肌のお手入れへの投資は欠かせません。5~6時間しか睡眠を取らないことで肌がこんなに影響されるのを見て、睡眠が肌にとって大事なお手入れの1つだということがよくわかりました」
下の写真を見ると、他の実験参加者たちの肌にもどんな変化が起こったのかが分かる。左側が8時間睡眠を取った後に、右側が5日連続で6時間睡眠を続けた後に撮影されたものだ。
また実験では、参加者たちに睡眠不足を体験する前と後の気分の変化についても回答してもらった。
その結果、参加者の20%が実験期間中に自尊心が低下したと回答し、33%が、実験終了後に気分が落ち込んだと答えている。
「睡眠不足はイギリス社会にまん延しており、イギリス人のおよそ半数が、7~8時間より25%少ない睡眠時間しかとっていません」と、睡眠に関する研究を行う「The Sleep School」の創設者ガイ・メドウズ博士は述べている。
「今回の調査結果が示しているように、睡眠不足は、気分や認識能力、集中力だけでなく、外見や自尊心にも重大な影響を及ぼします。
睡眠をとることで身体は癒やされて回復し、肌の毒素も取り除かれますが、睡眠時間が少なくなると、こうした機能を働かせる身体の能力も弱まってしまうのです。
この調査では、6時間睡眠を5日間続けることが身体にどのような影響を与えるかが明らかになりましたが、実際には多くの人が、5日間だけではなく何週間、何カ月、あるいは何年にもわたって、その程度の睡眠時間しかとれていません。短い睡眠時間は、長期間にわたって人々の外見や、自尊心に影響を及ぼしています」
イギリスの女性が美容製品やスキンケア製品に費やしている金額は、1年間で89億ポンド(約1.67兆円)になるというが、美肌と健康を保つより効果的で経済的な方法は、睡眠をよく取ることなのかもしれない。
ちなみに、全米睡眠財団(NSF)が6カ国で行った2013年の調査では、日本人は6カ国中で平日夜の睡眠時間が最も短く、平均して6時間22分だった。
この記事はハフポストUK版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:佐藤卓/ガリレオ]
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