テレビで人気の「タレント弁護士」から大阪府知事、そして大阪市長へと異色の転身を遂げてきた橋下徹・大阪市長が5月17日深夜、「大阪都構想」の住民投票終了後に記者会見し、任期満了後の政界引退を言明した。
自ら「敵を作るタイプ」と認める橋下氏が、この7年半で残してきた「語録」を、写真とともに振り返った。
「もう何%でもいいですよ。2万%でも。何%でもあり得ない」
6月18日の「父の日」を記念した2006年度ベストファーザー(イエローリボン)賞の授賞式が、東京都内のホテルで行われた。受賞者には(右から)小坂憲次文部科学相、渡辺美樹・ワタミ社長、橋下徹弁護士、俳優の柳葉敏郎さん、坂口征二・新日本プロレスリング相談役が選ばれた。 撮影日:2006年06月06日
2007年12月、太田房江・大阪府知事が3選出馬を突然辞退し、自民、公明はテレビ番組に出演しタレントとして人気のあった橋下氏の擁立に動き出した。報道各社の取材に、橋下氏は上記のように述べて立候補の意思を否定。しかし12月12日に出馬表明の会見をした際に発言の整合性を問われ、出演している番組をキャンセルするなどの必要があったためだと釈明した。
「職員の人件費も聖域ではなくなる」
大阪府知事選挙で当選確実とし、支援者らとともに万歳する橋下徹氏(中央、弁護士)(大阪市中央区の選挙事務所) 撮影日:2008年01月27日
2008年1月の知事選で圧勝した橋下氏は、朝日新聞社とのインタビューで、財政再建に取り組む姿勢を強調した。自民、公明が支援したが、2009年の民主党政権発足を機に、自民党と距離を置くようになる。
「一回ぶち壊して新たな大阪を作っていく」
政治グループ「大阪維新の会」の発足式で記念撮影に臨む代表の橋下徹大阪府知事(前列中央)と参加者(大阪市内のホテル) 撮影日:2010年04月19日
2010年1月12日の記者会見で橋下氏は、大阪府と大阪市の財政力強化のため、府市再編をめざす考えを初めて表明。議会で実現するための地方政党を発足させた。「大阪維新の会」は、2011年の統一地方選では大阪府、大阪市議会で第1党となった。
「渡辺さんがみんなの党にこだわりが強かった」
会談の冒頭、握手する(左から)みんなの党の江田憲司幹事長、渡辺喜美代表、大阪府の松井一郎知事、大阪市の橋下徹市長(東京・国会内) 撮影日:2011年12月20日
「第三極」の結集を目指したみんなの党は、2011年末の大阪市長・府知事のダブル選挙を仕掛けて圧勝した橋下氏ら大阪維新の会にラブコールを送り続けた。渡辺喜美代表(当時)と橋下氏は、2012年7月に会談し、合流について協議したが決裂。橋下氏はTwitterで「僕は大阪維新の会にこだわりはなく、新しい政治の動きが出れば良いと思っていたのですが、渡辺さんがみんなの党にこだわりが強かった」と批判した。その後、みんなの党から一部議員が「日本維新の会」に合流するなど、両者の関係は悪化した。
「憲法改正は絶対に必要だ。ぜひ首相に実現してもらいたい」
自民党総裁室をあいさつに訪れ、安倍晋三総裁(右から2人目)と握手する日本維新の会の橋下徹代表(左)=15日午前、国会内 撮影日:2012年10月15日
橋下氏は2015年1月15日の定例記者会見で、「できることがあればなんでもする」と安倍首相に協力する考えを表明。安倍首相ら官邸も大阪都構想に「二重行政解消」への理解を示すなど、憲法改正を巡って維新と安倍政権が連携を深めるとの観測が流れた。
「全部同じ考え方だったら、それこそ北朝鮮になってしまう」
日本維新の会結党大会で橋下徹共同代表(右)と対談する石原慎太郎代表(画面)=30日午後、大阪市内 撮影日:2013年03月30日
2012年12月の衆院選を前に、橋下氏の日本維新の会は、石原慎太郎氏率いる「太陽の党」との合流を決定。原発など基本政策が大きく異なる政党との合流の是非を問われた橋下氏は、11月17日の石原氏との会談後、記者の質問に上記のように答えた。
「慰安婦制度は必要なのは誰だってわかる」
2013年5月23日、韓国・ソウルで、橋下氏の慰安婦問題に関する発言に抗議する元軍人たち。(C)時事AFP
2013年5月13日、市役所で記者に慰安婦問題について「銃弾が雨嵐のごとく飛び交う中で命をかけて走っていくときに、どこかで休息をさせてあげようと思ったら、慰安婦制度は必要なのは誰だってわかる」と発言したほか、14日にはTwitterで「米軍基地の周囲で風俗業が盛んだったことも歴史の事実」と発言。女性団体や元慰安婦、韓国などから強く批判を受け、参院選を前に日本維新の会の支持率も急落した。
「もう1回通ったら、最後は住民投票まで持っていく」
大阪市長選が告示され、第一声で「大阪都」構想の必要性を訴える橋下徹前市長=9日午前、同市中央区 撮影日:2014年03月09日
大阪都構想を巡る議会での協議が、野党会派の反対で行き詰まった橋下氏は、任期途中で大阪市長を辞任。都構想を争点に掲げて市民の信任を得る作戦に出た。
「とにかく大阪では、おまえみたいな活動はいらないから」
ヘイトスピーチ問題で面談する橋下徹大阪市長(左)と「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の桜井誠会長=20日午後、大阪市役所 撮影日:2014年10月20日
在日外国人へのヘイトスピーチが問題になった「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の桜井誠会長との会談の際に出た発言。「ヘイトスピーチはやりすぎ。僕が直接対応する」と橋下氏が記者会見で発言したことから、在特会側が会談を要請。しかし「うるせえ、おまえ」などの罵声を相互に浴びせ合い、平行線のまま30分の予定が10分弱で終了した。
「国会議員としてあるまじき行動。指導不足は組織トップの僕の責任」
体調不良を理由に本会議を欠席し、その後旅行に出掛けたとされる問題で、記者会見する維新の党の上西小百合衆院議員(左)と大阪維新の会の橋下徹代表=3日、大阪市中央区の大阪維新の会本部 撮影日:2015年04月03日
維新の党の上西小百合衆院議員が「本会議を欠席して秘書と不倫旅行した」「本会議の前日、胃腸炎の診断書を取得しながら、ショーパブや居酒屋をはしごした」と報じられた問題で、本人と並んで記者会見。大阪維新の会は「これまで国会議員としての言動に非常に問題」があったとして、上西氏を除名した。
「『叩き潰す』と言って叩き潰された」
大阪都構想を巡る住民投票で反対が賛成を上回り、記者会見する橋下徹・大阪市長(右)と松井一郎・大阪府知事。2015年5月17日撮影 (C)Taichiro Yoshino
住民投票後の記者会見で任期満了後の政界引退を表明した。
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