ハフィントンポスト(ハフポスト)日本版の開設2周年を記念したイベント「未来のつくりかた――ダイバーシティの先へ」が5月16日、東京・六本木の泉ガーデンギャラリーで開かれた。
2周年を迎えた日本版で、ライフスタイルに関する記事に一層力を入れていくにあたって、「ダイバーシティ」(多様性)を受け入れる社会のありかたを考えるのがねらい。グローバルに活躍する人の働きかたや、世界の女性のライフスタイル、国籍や人種など、広い視野で討論が交わされた。
■学歴よりも「何がやりたかったのかが見える」キャリアを
冒頭のあいさつでは、ハフポスト日本版編集主幹の長野智子が登壇。「新聞・テレビなどのレガシーメディアなどでは埋もれがちな声を、聞こえる声にしていけると思っています」と話した。
続いて、NPO法人日本紛争予防センター(JCCP)理事長の瀬谷ルミ子さんが、紛争地帯で援助活動する際の、ダイバーシティの可能性について基調講演した。
日本人であることや女性であることが、アフリカの紛争地域で有利に働くケースもあることを、具体例を出して解説した。その上で、グローバルに活躍する人材について「日本で大事にされがちな学歴よりも、その人がキャリアの中で何を大事にしてきたかということが、海外では問われています」などと話した。
講演する瀬谷ルミ子さん
■ワークライフバランスの改善は「男女の戦い」ではない
「アジアの女性、その生きかた」を考えるパネルディスカッションでは、アジア3カ国から、ハフポストの編集主幹の女性がそろい踏み。韓国版のソン・ミナ、インド版のイシェタ・サルガオカー、日本版の長野智子が席を並べた。
ソン・ミナは韓国のテレビ局で働いていたときの経験を例に出して、男女差別の風潮が根強いことを挙げた。しかし、若い世代では「男性が家事を手伝うなど少しずつ変わってきています。特に母親の意識変化が顕著」と話した。
また、イシェタ・サルガオカーも「インドも家父長制の社会だけど、私の父は兄と私を平等に育てました。ワークライフ・バランスを改善するためには、男性と女性の戦いと見るのではなく、男性と女性が共に手を携えて立ち向かっていかなくてはいけません」と話した。
左から長野智子、ソン・ミナ、イシェタ・サルガオカー
■第一歩を踏み出す個人をどうサポートしていくかが大事
続いて開かれた特別鼎談では、P&Gジャパン執行役員の石谷桂子さんと、同社ダイバーシティ担当マネージャーの丸谷奈都子さんが、P&Gジャパンの働きかたについて話した。
石谷さんは自身の子育てとキャリアアップについての体験談を話した上で「第一歩を踏み出す個人をどうサポートしていくかが大事」と打ち明けた。
丸谷さんは「なぜ、働きかたのダイバーシティが必要なのかを考えたとき、まずは結果をマネージするという人事評価制度を作っていくのが最初でした。そのためにどうしたら一番、その人が成果を出せるのかというのを考えたときに、柔軟な働きかたが必要になったということです」と話した。
石谷桂子さん(左)と、丸谷奈都子さん
■男がつらくなくなれば、女性も楽になる
休憩を挟んで、5人のパネルディスカッション。テーマは「子育てしやすい国へ―これからの働きかた」。株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長の小室淑恵さん、武蔵大学社会学部助教の田中俊之さん、女性活用ジャーナリストの中野円佳さん、ハフポスト日本版のブログエディターの久世和彦によって活発な討論がなされた。
小室さんは「日本は、あと2年したら団塊世代が全員70代になります。団塊ジュニアは晩産化しているので、育児と介護が重なる世代が、日本の労働力を支えているのが実態。会社としても、時間に制約がある人が多い組織を目指す方が、いい人が集まります」といった話をした。
田中さんは「男がつらくなくなれば、女の人も楽になる。『働かなきゃ』『家族を養わなきゃ』という男性のプライドのしわ寄せが女性や子供に来ている。男性の育児休業は、すごく少ないので、まだまだ伸びしろがあります」などと分析した。
中野さんは、企業がダイバーシティについて理解を深めるための方法を提案。「これまで女性は子持ちであることをPRせずに仕事する傾向にありました。でも、これからは育児をしているからこそ『これだけ生産性高い仕事ができました』『こういう価値を発揮できています』といったように、自ら価値を発信していくことが大事」と話した。
左から小室淑恵さん、田中俊之さん、中野円佳さん、久世和彦
■ライフスタイルと動画を積極展開
ハフポスト日本版の今後の展開について高橋浩祐編集長は、今後、より一層ライフスタイルのジャンルに注力していくために、ライフスタイル専用のTwitterとFacebookを開設したことを報告。さらに「ハーフでミス・ユニバース日本代表になった宮本エリアナさんのインタビューを日本版・US版ともに取り上げたばかり。こうした様々な方の声を取り上げて報道していきたい」と抱負を述べた。
閉会のあいさつは、ザ・ハフィントンポスト・ジャパン代表取締役の西村陽一。「モバイル革命が進む中で、これからは動画を積極的に展開していくとともに、10数カ国に展開する言論ネットワークをさらに発展させていきたい」と話した。
■登壇者プロフィール(敬称略)
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