「カミングアウト、自然にできた」Ki-Yoさん、LGBT明かす【東京レインボープライド2015】

ミュージシャンのKI-YOさんが4月26日、東京レインボープライドに出演。ステージの上で、初めて自身がLGBT(セクシュアル・マイノリティ)であることをカミングアウトした。
The Huffington Post

ミュージシャンのKi-Yoさんが4月26日、東京レインボープライドに出演。ステージの上で、初めて自身がLGBT(セクシュアル・マイノリティ)であることをカミングアウトした。

日本に暮らすLGBTの人たちのカミングアウトを応援する「OUT IN JAPAN」プロジェクトのメイキング動画に楽曲「WE ARE ONE」を提供。同プロジェクトを通じて、写真家レスリー・キー氏らとの出会いや、親友のメッセージがきっかけとなってカミングアウトを決意したという。

「せっかく今日、素晴らしいこんな機会をいただいたので、一度もはっきりいったことないんですが、いいたいと思います。僕もLGBTのひとりです。

清貴という名前でデビューして15年、初めていいました。(拍手)ありがとうございます。自分に正直に生きていきたいなと思って。僕のイギリス人の大親友の言葉「自分の人生のなかで、正直にオープンになることは、長い目で見たら絶対悪いことじゃないよと。いつかいうなら今いおうと思いました」

Ki-Yoさんが「WE ARE ONE」を歌い上げると、会場の大きな拍手に包まれた。ライブの後は、仙台在住の両親も応援に駆けつけ祝福した。

Ki-Yoさんは16歳で、レコード会社EMIと契約。高校在学中にシングル「No No No」でデビュー。3枚目のシングル「The Only One」が40万枚のヒットを記録。2010年に拠点をニューヨークに移して活動している。

…………

Ki-Yoさんは、東京レインボープライド終了後、ハフポスト日本版に対し、カミングアウトの瞬間について「自然にできた」と振り返った。LGBTの理解を広めていくためには「当事者が、自信を持って生きていく姿を見せることが、世の中を変えていく」などと想いを語ってくれた。以下に全文を紹介する。

――今回の東京レインボープライドの盛り上がりをどう感じましたか?

僕自身もお客さんのひとりとして楽しんでいた感じです。こうやってLGBTのコミュニティがどんどん大きなっていって、世間の人にたくさん知ってもらえるなったのは、とてもうれしいなと思います。

――ステージ上でカミングアウトした瞬間の気持ちは?

なんか、すごく自然とできた。今回(認定NPO法人グッド・エイジング・エールズの)松中権さんとレスリー・キーさんとの出会いもそうですけど、本当にまわりのみんながサポートしてくれて後押しくれたんですよね。せっかくこういう「WE ARE ONE」という曲も作ったし、なんかすごくいいタイミングだなと思いました。

僕もデビューしてからずっと「いつか言いたいな」という気持ちがあったんですけど、世の中も変わってきているし、僕自身もアメリカに5年いた経験が、すごく自分の気持ちをオープンにしてくれたのかなと思います。もっと、今回カミングアウトして、もっと自分に正直に向き合えるかなと思います。

――世の中が変わりつつあるとのことでしたが、以前は(カミングアウトは)難しかった。

年齢的なこともあると思うんです。僕がデビューしたのは17歳のときでしたし、まわりに(LGBTの)友達もいなかったですし、ずっと隠していかなきゃいけないと最初は思っていました。ただ本当に、この10年で、世の中もすごく変わってきました。LGBTに関する理解も進んできました。

海外には、いろんな人種の人やセクシュアリティの人がいて、「違うけど認め合っていこうよ」という環境の中にいたので、日本が変わっていくなかで、自分がアクションを起こすことで、なにか世の中の役に立っていくんじゃないかなと。

――ステージ上では、緊張しましたか? 会場の拍手も印象的でした。

そうですね。緊張はしてたんですけど、1週間前からどんなふうにいおうかなとか、色々考えてたりしたんですが、なんかもう、自分の本当のことをいうだけじゃないですか。ステージに立ってからは、自分の思ったことを「こんなふうに感じてました。僕はこうです」って素直にいっただけなんですね。

みんな同じような悩みとか痛みとか持っていたから、カミングアウトしたことに拍手してもらえたのかなと思いますね。

――ステージでもレスリーさんとお話されました。

レスリーとは、まだ会って1週間、2週間くらいなんですけど、毎日会ってたんじゃないかなと。彼はものすごく前向きなんですよね。「なんで? LGBTって普通じゃん!」って最初っからポーンといっちゃう。あれには僕もインスピレーションをもらいました。「それが普通になっていかないとおかしいじゃん」と思っている人なので、すごく今回、彼の存在は大きかったかなと思います。

――ご両親も仙台からいらっしゃいましたね。

いやー、うれしかったです。仙台の両親に、3日前くらいに「よかったら来てくれないかな?」といったら、そしたら仕事を休んできてくれたので。僕自身は、両親には20歳くらのときにいってたんですけど、音楽をやっているなかで、なかなか世間一般にはいえなかったので、それを初めていうときに、親に来てもらえたのはうれしかったですね。

――渋谷区で同性パートナーシップ条例が議決されました。行政的な後押しも広がりつつあります。世の中を変えていくにはどんなことが必要でしょうか?

やっぱり僕や、すでにカミングアウトされた方が、自信を持って生きていく姿を見ることで、次の世代の人たちが、「それでいいんじゃん」と思ってもらえたら、どんどん世の中も変わっていくと思います。LGBTじゃない方も、「何かそれって普通だよね」という世の中になっていくと思うんですよね。

まずは、当事者の方が、自信を持って人生を生きてハッピーに生きて……っていうのを見せていくのが、世の中を変えていくんじゃないかなと思います。

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