安倍首相と翁長雄志・沖縄県知事の会談、途中で公開打ち切りか【辺野古移設】

安倍晋三首相と沖縄の翁長雄志知事との初会談で、知事発言の報道陣への公開が、予定より早く打ち切られていた可能性があることがわかった。
時事通信社

4月17日に首相官邸で行われた安倍晋三首相と沖縄の翁長雄志(おなが・たけし)知事との初会談で、知事発言の報道陣への公開が、予定より早く打ち切られていた可能性があることがわかった。

沖縄県側の主張では、安倍首相と翁長氏の冒頭発言のそれぞれ5分ずつを報道陣に公開する予定だったが、実際には翁長氏の発言は3分13秒で、官邸側が「報道、退室」と命じていた。このとき翁長氏は、用意していたメモ4枚のうち、2枚目を読み上げたところだった。沖縄タイムスなどが報じた。

県幹部によると、会談の事前調整で県は会談を全部公開するよう求めたが、調整の上、会談は30分で冒頭5分ずつの発言を公開すると約束。発言順は知事が先だったが、17日朝に官邸側が「総理から」と変更を申し入れ、発言時間は「5分ですよ」と念押しがあったという。

 

知事発言が突然、非公開に 官邸が3分で打ち切る | 沖縄タイムスより 2015/04/18 07:18)

政府インターネットテレビでは、この会談の様子が動画で公開されているが、翁長氏の「自ら土地を奪っておきながら、『老朽化したから、世界一危険だから沖縄が負担しろ。嫌なら代替案を出せ』と言われる。こんな理不尽なことはないと思…」という発言のあたりで、映像がフェードアウトして終了している。これは、ちょうど官邸側が報道陣に退出を要請する直前だったとみられる。

17日に放送されたテレビ朝日系の「報道ステーション」によると、翁長氏は沖縄県民の思いを表現できるよう、事前に冒頭発言の練習までしていた。

沖縄タイムズによると、翁長氏は会談後、非公開になった発言内容を記者団に紹介、発言メモも報道各社に配るよう県職員へ指示した。知事発言の途中で公開が打ち切られたことに対して、沖縄県幹部から「あれはルール違反」と不満の声も出ているという。

会談に同席していた菅義偉官房長官はこの日の記者会見で、報道陣からの「県側からは事前の調整と違うとの声が上がっている」との指摘に対し「そんなことはありません。お互いに話をして、時間が来たら当然切らさせて頂いている。官邸では全部そのようなかたちでやっている」と述べた。その上で、「(約束していた公開時間が)具体的に何分だったかは分からないが、総理が(発言)されて、そのあとで翁長知事が(発言)されていますよね。そのなかの判断で、報道陣を出されたのだと思いますが、官邸でやるときは、いつも途中で(報道陣は外に)出ているんじゃないでしょうか」と反論した。この日の安倍首相の発言は2分50秒だった。

■「官邸側は会談に反対していた」との声も

なお、安倍首相と翁長氏との会談には、首相官邸の中から反対の声が出ていたとする見方もある。独立総合研究所社長で作家の青山繁晴氏は17日に放送されたテレビ東京の「チャージ730!」に出演し、「安倍総理は、まだ会うつもりはなかった。(沖縄県と政府との間に)多少の合意点がないと、総理が会っても何も進展しないというのが安倍さんの考えだった」とした上で、「菅官房長官が説得した。『(沖縄県知事選で翁長氏が)圧倒的に勝利したということを総理が認めることで、やっと(議論の)スタート地点にたてるから、会って下さい』として、(官邸の)事務方の反対を押し切った」と述べた。

菅氏は5日に那覇市内のホテルで行われた菅氏と翁長氏の会談で、記者団への公開時間が5分とされていたにも関わらず、30分を公開。青山氏は、このとき菅氏は翁長氏の態度を見て、安倍首相に翁長氏との会談するよう働きかけたのではないかと分析した。

【関連記事】

ハフィントンポスト日本版はFacebook ページでも情報発信しています

注目記事