指の関節をポキポキ鳴らすと◯◯ 長年の議論がついに決着か(研究中)

科学者たちは関節の音が鳴る原因について長く議論を続けてきた。
カナダのアルバータ大学ピーター・S・アレンMRリサーチセンターでの、拳を鳴らす実験のクローズアップ写真。
カナダのアルバータ大学ピーター・S・アレンMRリサーチセンターでの、拳を鳴らす実験のクローズアップ写真。
University of Alberta

世界には2種類の人間がいる。指の関節をポキポキ鳴らしたらとてもリラックスできる人と、そのことを考えただけで身悶えしそうになる人だ。

科学者たちは関節の音が鳴る原因について長く議論を続けてきた。それが手にダメージを与えるのかどうか否か(答えは、たぶん大丈夫!)については、混乱が多く発生している。そして今、人が指を鳴らすときに物理的に何が起きているのか、その議論にようやく決着をつけようとしている。

関節鳴らしのパズルを解く。科学雑誌「PLOS ONE」に掲載された最近の研究で、研究グループは指を鳴らすと体内に一時的に空洞が生じることを発見した。これにより、音が鳴るのは気泡が弾けることによるものだという、長年にわたって広く知られてきた理論の誤りが証明された。

この研究にあたって、カナダ人のカイロプラクター、ジェローム・フライヤー氏の指が研究対象となった。彼はすべての指の関節をいつでも鳴らすことができる(誰にでもできることではない)。さらに、彼は指の関節を鳴らすことの科学的な研究に特別な関心を持っている。

「フライヤー氏は実に素晴らしい才能の持ち主です。指の関節鳴らし界のウェイン・グレツキー(「アイスホッケーの神様」と呼ばれるNHLの元スター選手)が私たちのチームに加わったようでした」。同研究の代表執筆者で、アルバータ大学リハビリテーション医学部のグレッグ・カウチャック教授は、同大学が発表した文書でそう述べた。

指の関節を鳴らす時に何が起きているのか観察するため、フライヤー氏はそれぞれの指をケーブルに繋いだチューブに挿入した。そして彼の指が鳴るまで、このチューブがゆっくりと引っ張られた(上記写真参照)。MRI動画は、それぞれの関節が鳴る様子をリアルタイムで捉えた。

フライヤー氏の指関節が鳴る様子を捉えたMRI動画

音が関節を伝わる。研究者らは、フライヤー氏の全ての指で同じ現象が起きていることを観察した。関節が離れて「ポキッ」という音が鳴り、関節の潤滑油として機能する滑液という物質内に気体を内包した空洞が生じた。

「真空が生じるのと若干似ています」と、生体工学の博士号を持つカウチャック教授は述べた。「関節の表面が不意に離れると、容量が増大した関節を液体が満たせなくなります。そこで空洞が生じ、それが音の発生と関連しているのです」

画像では、音が鳴る前の関節は通常の状態で、気体を形成するような動きは見られなかった。しかし音を鳴らすと、暗黒の虚空が出現した。

フライヤー氏の指による証明は、関節炎や怪我といった関節の問題を研究する科学者たちにとって役立つかもしれない。カウチャック教授は同論文の中で、今回の発見が関節を鳴らすことによる治療的な利点(あるいは弊害)に関する新たな研究につながるかもしれないと記している。現在のところ、研究では矛盾したデータが示されている。科学者らは、指の関節が鳴る時に発生する力は表面にダメージを与えるほどのエネルギーを持っているが、頻繁に拳を鳴らすことによる長期的な悪影響は認められないことを発見している。カウチャック教授と彼のチームは、さらなる調査を行う計画を進めている。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

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