2020年東京オリンピックのメーン会場となる予定の、新国立競技場の建築予算をどのように賄うのか――日本スポーツ振興センター(JSC)は、足らない財源の確保のため、サッカー・Jリーグに続いてプロ野球でもスポーツくじの導入を検討している。
対象競技を拡大するのは、2020年東京五輪・パラリンピックで主会場となる国立競技場の改築費の財源確保などが目的。現行ではくじの売り上げの最大5%を改築費に充てることになっているが、議連は10%まで引き上げる方針も固めた。これに伴い、売り上げ増を図るために対象競技を広げたい考えで、プロ野球のほかラグビーも候補に挙がっている。議連は議員立法により今国会中に関連法案の提出を目指す。
(toto:プロ野球検討、対象拡大を議論…スポーツ議連 - 毎日新聞 2015/04/15)
国立競技場の建て替えは、当初の予算は1300億円の予定だったが、2012年にコンペで選ばれたザハ・ハディドさんの設計通りに作ると3000億円まで工費が膨らむことが判明。JSCはハディドさんの原案のまま建設することを諦め、原案のテイストを残しつつ、大幅に規模を縮小し、1699億円を上限とした修正案で建設することを決めた。
しかし、その修正案でも部材の高騰などにより1700億円を超える可能性もある。事実、解体工事の業者選定も難航し、当初、2014年7月から始まる予定だったのが、2015年1月開始と半年遅れている。
また、縮小された1700億円という規模自体も、ロンドンなど近年の他のオリンピックの会場よりもずば抜けて大きい。また、維持費も年間35億円かかるとされている。JSCはそれを上回る年間38億円の収入を見込み、年3億の黒字が出すというが、JSCのキャッシュフロー計算書によれば、2013年度の国立競技場の収入は約27億円。11億円の上積みが必要だが、新国立競技場では、VIPルームや年間プレミアムシートで収入を増やすという。
政府は国費やスポーツくじで維持費をまかなうことを認めず、興行などで黒字化を求めている。だが、現実的には野球へのスポーツくじ導入や、スポーツくじから維持費への助成割合を5%から10%に増やす方針を模索しはじめており、維持費の問題は簡単に解決しそうにない。このままでは、スポーツ振興のための予算が巨大な箱物の維持に消えていく恐れがある。
現状で、解体工事は進んでおり、既定路線のJSCの修正案で建つことになる。
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