「LGBT、当たり前になるように」写真家レスリー・キーが語る、自分らしさ。そして愛のかたち【動画・画像】

「あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる」日本のLGBTをはじめとした、セクシュアル・マイノリティの人たちの姿を、多彩なフォトグラファーが撮影するプロジェクト「OUT IN JAPAN」が始まる。

「あなたの輝く姿が、つぎの誰かの勇気となる」

LGBTの人たちの、自分らしく、ありのままの姿を、写真に——。日本のLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)をはじめとした、セクシュアル・マイノリティの人たちの姿を、多彩な写真家が撮影するプロジェクト「OUT IN JAPAN」が始まる。

このプロジェクトでは、5年間で1万人のLGBTを撮影することを目指すという。2012年の電通総研の調査によれば、約5.2%(約20人にひとり)はLGBTとされている。一方、同性婚が合法化されているスペインやノルウェーでは「身近にLGBTがいる」と答えた人が65%を超えるなか、日本で「身近にLGBTがいる」と回答したのは5%。カミングアウトしにくい環境なのが現状だ。

そうしたなかで、プロジェクト第一弾として、日本をはじめ世界で活躍するシンガポール出身の写真家、レスリー・キーさんが参加。日本に暮らす92組111人のLGBTの人たちの姿を撮り下ろした。

作品がGapフラッグシップ原宿で4月21日から展示されるのに先駆けて15日、メイキング動画が公開された。

「OUT IN JAPAN」の狙いは何か。LGBTの暮らしやすい社会のために、私たちができることは何か。プロジェクトを主催した、LGBTの生きやすい社会づくりのための活動を行っている認定NPO法人グッド・エイジング・エールズ代表の松中権(まつなか・ごん)さんや、レスリー・キーさんに話を聞いた。

■「あなたの隣にLGBTの人がいる」

松中さんは、「OUT IN JAPAN」の狙いについて「あなたの隣にLGBTの人がいるんだよ、ということを、わかりやすく届けられるプロジェクトにしたかった」と語った。

実際に、撮影に参加した人たちは92組。レズビアンカップルとその子供や、新宿2丁目にある老舗ゲイバーの67歳のマスター、16歳の通信学校に通うレズビアンのほか、同性結婚式を挙げたカップルなどが集まった。

一般の人からも、約2週間で100件近くの応募が寄せられた。就職活動中の学生のほか、今回のプロジェクトを機に、両親にカミングアウトする決意した人たちもいるという。

松中さんは、「いろんな年代の多様なセクシュアリティの人たちが集まりました。本当に素晴らしくて、涙が出ちゃうような作品ばかりです。やっぱり一人ひとり、自分の思いを持ってカミングアウトする人たちが揃ったので、みなさんのエネルギーがすごかったですね」と、撮影シーン(画像)を振り返った。

■レスリー・キーさん「勇気を与えてもらった。幸せをもらった」

写真家のレスリー・キーさんも、撮影に参加した人たちから「勇気を与えてもらった」として、カミングアウトした人への感謝の思いを口にした。レスリーさんと松中さんとの出会いは、4年前に遡るという。

「実は、4年前に『GQ』のLGBT企画で、ゴンと出会ったんです。そのときに、いつか何か一緒にやろうと話していて。今回の企画を聞いて、LGBTのことを、もっと日本のたくさんの人に知ってもらうために、一緒にやりたいという話を聞いて、何も考えずに「やろう」と。当然のことだと思ったから。

印象に残った写真はいっぱいあるけれど、とくに、恋人同士はすごく印象に残っています。カップルが、両サイド(2人)ともOKで、企画に賛同してくれることは、少ないから。とても勇気を与えてもらった。幸せをいっぱいもらいました。

でも、1人であっても2人であっても、みんな同じ気持ちで、一緒にしゃべりながら、撮影しました。私たちのこの企画を、みんなが応援してくれた。すごく感謝してます。みんなは、私たちの恩人です」

■「LGBTは普通、知らない日本人がかわいそう」

世界で活躍するレスリーさんは、欧米の都市を例に挙げて「日本人は、LGBTを知らなさすぎる」と語った。欧米などのグローバルな基準に合わせて、日本もLGBTの理解を進めることが大切だと訴えた。

「LGBTが何なのか、日本人はあまりにも情報を知らなさすぎると思う。他の国なら、当たり前のように知っていないといけない。ニューヨークや、ロンドン、パリだったら、ゲイやレズビアン、バイセクシュアル……の人たちを見ても、何も特別だと思わない。特別な人間じゃなくて、普通の人間だと思う。でも日本の人は、まだ普通と思っていない。

LGBTの人たちは普通。私も普通、みんな普通。マジョリティが正しいとは限らない。知らないマジョリティがおかしい、私はそう思います。LGBTを普通と思わないとしたら、9割の日本人がかわいそうです。

日本の街を歩いていると、心配になる。昔からそう思っていたけど、今もそう思う。グローバルな基準で、LGBT について知っていなければいけないと思います。なぜなら、もう2015年だから。

同じアジアの国でも、マレーシアとかイスラム教の国が、宗教の問題で理解しづらいなら、ちょっと分かる。でも日本には、宗教の問題がない。なぜ日本では受け入れられないのか。どうしてだと思いますか? 知識がないからです」

■「LGBTの理解、ダイバーシティの教育から始まる」

最後にレスリーさんは、これからの日本社会に求められることとして、ダイバーシティの「教育」を挙げた。「LGBTが当たり前になるように、教えてほしい」と力強く語った。

「『ダイバーシティ』(多様性)という言葉をいつも使うんだけど、日本は、子供の教育で、LGBTの存在が当たり前になるように教えてほしい。親やおじさんから学んだことだけでは、わからないかもしれない。ゲイやレズビアンといったLGBTに違和感を感じるとしたら、それは教育が良くないんだと思う。

教育から始まると思います。

グローバルな基準で、日本でもLGBTの理解が深まるように、こういう企画を通じて、少しでもムーブメントが起こればいいなと思います」

「OUT IN JAPAN」には、ミュージカル「RENT」と外資系アパレルGap、イタリア車メーカーのAlfa Romeoが協賛。LGBTをテーマにしているミュージカル「RENT」は、主演でトランスジェンダーのIVAN氏ら出演者が撮影に協力、スタジオを提供した。Gapは参加者の衣装やスタイリングを手がけている。作品が展示されるGapフラッグシップ原宿は、スタッフにLGBT研修を行っているという。Alfa Romeoはプロジェクトを持続可能にするため、クラウドファンディングのプラットフォームを提供する形でサポートする。

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