「校庭」と聞けば、すぐにすべり台やブランコ、砂場やうんていを思い浮かべる人もいるだろう。しかし、ヨルダン川西岸に住む子供たちにとっての休み時間は、イギリスの私立小学校に通う子供たちやシエラレオネの子供たちの休み時間とは随分と違っている。建物や足元に広がる校庭から、身を包んでいる制服に至るまで、「自由に遊ぶ時間」という考えの中に、際限なく細かい特徴が埋め込まれている。
イングルウッド高校、イングルウッド、カリフォルニア© James Mollison
写真家のジェームズ・モリソン氏は、写真集と展覧会『Playground (校庭)』で子供たちが思い思いに羽を伸ばす様子を垣間見せてくれる。アルゼンチン、ブータン、ボリビア、インド、イタリア、日本、そしてネパールを含むさまざまな場所で見られる憩いのひとときを捉えることで、モリソン氏は想像力を働かせることやリラックスすること、そして始業のチャイムが鳴る前にはしゃぐことの違いや類似点を、鮮やかな写真に収めている。
バレー・ビュー校、マター、ナイロビ、ケニア © James Mollison
この写真集は、大人の頭に浮かぶ「校庭」の楽しさや恥ずかしさ、開放感やがっかりした気持ち、そして不安を思われせる場面を彷彿とさせる。振り返ってみると、遊びの時間はおおむねバラ色に輝いて見えるが、授業の合間に度々起こるヒヤっとした出来事も思い出す。
彼はカメラを学校の休み時間に設置し、写真を何枚か撮影してから、それらを1枚の合成写真に加工している。この合成画像の中で「遊びの時間の物語」が生まれる。
アイーダ男子校、ベツレヘム、ヨルダン川西岸© James Mollison
この写真集は、裕福な学校から貧しい学校まで、実にさまざまな子供たちを捉えている。そして中学校と高校の両方を扱ってもいる。ブータンでは、床まで届くような長い赤いローブをまとった子供たちが芝生の上で大型犬と戯れる一方で、ケニアでは制服姿の子供たちがスラム街の真ん中に溢れ返っている。イスラエルのテルアビブでは、子供たちが軍服を着ているが、マサチューセッツでは格子柄のスカートとポロシャツを身に付けている。不平等について考えさせられると同時に、視覚的に過去にタイムスリップさせられるようなこの本は、Aperture社から出版されている。そして、遊びの時間は子供にとってとても大切なものだと分かる。
『Playground (校庭)』はApertureで購入できる。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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