菅義偉官房長官は4月6日午前の記者会見で、アメリカ軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設作業を「粛々と進める」とくり返し述べてきたことに関して、今後はやめる考えを示した。5日に会談した沖縄県・翁長雄志(おながたけし)知事から「上から目線」と批判されたため、表現を改めることにした。朝日新聞デジタルなどが報じた。
菅氏は「不快な思いを与えたということであれば、使うべきではない」と述べ、翁長氏との会談について「ともに取り組まなければならないことがたくさんある。対話を始める一歩になった」と語り、今後も対話を重ねる考えを示した。
翁長は5日の会見で、「官房長官が『粛々(と進める)』という言葉を何回も使われる。僕からすると、問答無用という姿勢が埋め立て工事に関して感じる」と指摘し、「危険除去のために『沖縄県で負担しろ』という話をされること自体が日本政治の堕落ではないか」などと語っていた。
■「粛々と」、本題の意味は?
「粛々と」とは、そもそもどういう意味なのか。政治家が対立する政党や世論の反対・批判を押し切って物事を進める時によく使われている。元をたどると、古代中国で鳥が羽ばたくようすを表す擬態語だという。
広辞苑・大辞林・岩波国語辞典などの解説をまとめると「慎む」「厳か」「静かに」(行動する)という意味になる。東海テレビは、政治家が使う場合は、「世論の反対・批判を押し切って物事を進める時によく使われる」などと事例を紹介している。
政治家がいつ頃から「粛々」を使い始めたかは不明ですが、対立する政党や世論の反対・批判を押し切って物事を進める時によく使われる、という印象です。やや難解で強さのない「粛々」で露骨さを和らげながら、批判には耳を貸さず方針を押し通すのに使ってきました。かつては、この言葉がスマートに聞こえた時代があったのでしょう。しかし、今日では言い訳がましく聞こえます。
(東海テレビ|空言舌語より)
■Twitterの声
Twitter上にも、沖縄基地問題における「粛々と」の使い方をめぐり様々な声が上がっている。「反対する人や困る人がいても気にせずに」という意味だとする声や、「上から目線の要素は感じられない」といった声がみられた。
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