菅義偉官房長官と沖縄県の翁長雄志(おなが・たけし)知事は、4月5日、午前9時半から約1時間、那覇市内のホテルで会談した。二人の会談は翁長氏の知事就任以来、初めて。菅氏がアメリカ軍普天間基地の危険性の除去に向けて、那覇市辺野古への基地移設計画への理解を求めたのに対し、翁長氏は計画を断念するよう求めた。
朝日新聞デジタルによると、会談は冒頭30分間が報道陣に公開され、菅氏、翁長氏がそれぞれ、約15分ずつ考えを述べた。
菅氏は「日米同盟の抑止力の維持や、(普天間飛行場の)危険性除去を考えたときに辺野古移設は唯一の解決策であると政府は考えている」として、「関係法令に基づき、環境などに配慮しながら、粛々と続ける」と述べた。
これに対して翁長氏は、「官房長官が『粛々(と進める)』という言葉を何回も使われる。僕からすると、問答無用という姿勢が埋め立て工事に関して感じる」と指摘。さらに、「危険除去のために『沖縄県で負担しろ』という話をされること自体が日本政治の堕落ではないか」と反論した。翁長氏は「日米安全保障体制は重要だと理解しているが、日本の安全保障は日本国民全体で支えるという気構えがなければならない。沖縄がみずから基地を提供したことはない。辺野古の新基地は絶対に建設することはできないと確信している」と述べた。
会議の後、菅氏は記者団に対し、「国と沖縄県が話を進めていく、第一歩となったと思う」とコメント。さらに、「政府は、国民の安全保障を守るという極めて大きな責任がある。ギリギリの解決策が辺野古への移設であった。沖縄の(前)知事と、辺野古の(当時の)市長に同意を頂いている。相手の国のある話だから、そこは進んでいかないと、今の状況はなかなか改善することは難しいのではないか」と述べた。
翁長知事の安倍首相との面会については、具体的なことが聞かれなかったとして、今後対話の中で進めるとした。
一方で、翁長氏は会見後、公開されなかった会談内容について記者団にコメント。菅氏から出された経済振興の話題については「基地の話と経済新興は別の話」として本州四国連絡橋や、九州新幹線などを例にあげ、「基地や原子力発電所があるから、九州や四国に橋や新幹線がつくられたわけではなく、経済を発展させ日本に貢献せよということだったはずだ。沖縄の振興策も同じかと聞くと菅氏もそうだと。それで、基地とは関係なく、沖縄がアジアと日本の架け橋、日本のフロントランナーとなるよう応援してもらいたいと伝えた」と話した。
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