2005年4月25日に乗客ら107人が死亡し、562人が負傷したJR福知山線脱線事故で、業務上過失致死傷の罪に問われたJR西日本の歴代社長3人に対する控訴審の判決が3月27日、大阪高裁(横田信之裁判長)で言い渡された。横田裁判長は全員を無罪とした一審・神戸地裁判決を支持し、検察官役となる指定弁護士の控訴を棄却した。朝日新聞デジタルなどが伝えた。
起訴されていたのは以下の3人。いずれも、神戸地検は不起訴としていたが、遺族らからの申し立てを受けて検察審査会が「起訴相当」を2回議決したため、強制起訴されていた。
事故では、JR尼崎駅手前のカーブで、快速電車が制限速度を大幅に上回るスピードを出し、線路脇のマンションに衝突した。現場は1996年12月に比較的急なカーブに付け替えられていたが、自動列車停止装置(ATS)がなかった。裁判では、歴代の3社長が、カーブ付け替えの計画段階やダイヤ改定のときなどに危険性を認識できたのに、ATSの整備を怠ったかどうか、責任の所在が焦点となった。被告側は、危険性を具体的に認識する機会はなかったとして争っていた。
一審判決は「ATSが整備されていれば、事故を未然に防げた」と指摘。一方で「現場カーブの急曲線化が決まった経営会議の資料には、カーブの半径や制限速度についての記載がなかった」とし、危険性を具体的に認識できる機会がなかったと判断した。
そのうえで、①ATS整備を義務づける法令はなかった②当時、転覆の危険性があるカーブを個別に判別してATSを整備する鉄道事業者はなかった――と指摘。ATSの整備を指示しなければならない注意義務もなかったと結論づけた。
(宝塚線事故、2審も無罪 JR西の歴代3社長で大阪高裁:朝日新聞デジタルより 2015/03/27 14:16)
事故をめぐっては、カーブ付け替え当時に鉄道本部長だった山崎正夫・元社長(71)が業務上過失致死罪で神戸地検に在宅起訴されたが、2012年1月に一審・神戸地裁が無罪判決を言い渡し確定していた。JR西日本経営陣の刑事責任を問う裁判は歴代3社長の裁判が最後で、検察官役の指定弁護士が最高裁に上告するかが焦点となる。
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