将来の国産ステルス戦闘機の試作機となっている「先進技術実証機“ATD−X”」(通称・心神=しんしん)が8月にも初飛行することがわかった。防衛省技術研究本部(技本)の関係者が3月25日、ハフポスト日本版編集部の取材に対し、明らかにした。
この技本の関係者は「(心神は)今夏に初飛行を予定している。早ければ8月を目標としている」と述べた。
心神は、試作機とはいえ、事実上の「日の丸ステルス機」の第1号となる。主契約企業の三菱重工業が現在、零式艦上戦闘機(ゼロ戦)を生んだ同社の名古屋航空宇宙システム製作所(旧・名古屋航空機製作所=名航)の小牧南工場で、アビオニクス(航空機搭載の電子機器)や電装についてのデータを取るなどして、心神の地上試験を実施している。その後は地上滑走試験を予定している。心神はゼロ戦と同様、名航で誕生するわけであり、その意味で「ゼロの遺伝子」を受け継いでいるといえる。
心神の初飛行は当初、2014年中に行われる見通しだった。しかし、「エンジンが停止するオート・スプールダウンの事態に対処する再始動機能を追加したため、遅れが生じた」(技本の関係者)という。
心神は、F2戦闘機の後継機となる将来の「第6世代戦闘機」F3の生産に向けたプロトタイプ(研究試作機)である。つまり、防衛省は、心神をF35といった「第5世代戦闘機」と呼ばれる現在のステルス機の上を行く、「第6世代戦闘機」のカウンターステルス機の礎にすることを目指している。
心神の特徴は、優れたステルス性と機動性にある。敵レーダーに探知されずに敵を捕捉できる高いステルス性能、耐熱材料、先進アビオニクスなど、日本が誇る高い技術を活用した高運動性を武器とする。
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