ワシントン -- アメリカのバラク・オバマ大統領は3月20日、ハフポストUS版の単独インタビューで、大統領が司法長官に指名したロレッタ・リンチ氏の承認を拒否しているとして、共和党上院議員を厳しく非難した。その中で、分裂した議会に対する取引材料として、ロレッタ・リンチ氏を「人質」として抱えていることは許されないとした。
リンチ氏はビル・クリントン元大統領政権とオバマ政権時にニューヨーク東部地区連邦検事を務めている。2014年11月8日、オバマ大統領はエリック・ホルダー司法長官の後任として、ロレッタ・リンチ検事を指名していた。承認されれば、史上初のアフリカ系アメリカ人女性の司法長官となる。
後任の司法長官に指名されたロレッタ・リンチ氏(写真中央)。左はエリック・ホルダー司法長官
「司法長官候補を、関係のない理由で人質に取ることはできません」と、オバマ大統領はインタビューで、ハフポストUS版のサム・ステイン記者に述べた。「司法省は我が国の最高の法執行機関です。彼女にその資格が十分にあることは誰も否定することはできません。我々は前に進み、彼女を着任させる必要があるのです」。
リンチ氏の指名は130日以上長引く問題となっている。今週、共和党のミッチ・マコーネル上院院内総務はオバマ政権への妨害工作として、議会が人身売買に関する法案を可決するまではリンチ氏への同意は得られないと警告した。民主党はその法案に含まれている中絶反対の条文に反対している。
大統領の発言の真意は、上院の民主党議員に、人質を取っている者に屈するのではなく、断固として立ち向かうことを要求することだ。人質を取る者とは、人身売買法案の審議で対立する上院共和党を指す。
3月18日、民主党のディック・ダービン上院議員は、共和党にリンチ氏の採決を遅らせていることを非難し、彼女が人種のせいで特別に扱われていることを示唆した。
ダービン議員は「ロレッタ・リンチ氏は司法長官に指名された初のアフリカ系アメリカ人女性だ。しかし上院では、彼女はバスの後方で座っているよう求められている〔訳注・1955年、アフリカ系アメリカ人女性のローザ・パークスさんが、市営バスでアフリカ系アメリカ人専用席への移動を拒否して逮捕された事件を指す〕」と述べた。「それは不公平である。それは正義ではない。それはアメリカ上院議会の礼節や尊厳にかかわる問題である」。
民主党のアフリカ系アメリカ人幹部会議議長のG.K.バターフィールド下院議員は19日、「人種が間違いなく、今回の承認遅延の主要な要因であると考えられる」と述べた。
しかし、オバマ大統領は共和党の意図について確信を持っていないようだ。
「それについては分かりません」と、大統領はリンチ氏の承認の遅れに人種が関係している可能性があることについて言及を避けた。その代わり、オバマ大統領は「上院議会の機能不全」を指摘した。「候補者を容認しない、一部の共和党議員の頑なな姿勢に問題がある。そういうことなのです」。
「私が分かっていることは、彼女は十分にその資格があるということです。それは誰にも否定できません」とオバマ大統領は述べた。「共和党議員でさえ、彼女が素晴らしい検事であることは認識しています。彼女はニューヨークでテロリストを訴追し、組織犯罪、公職の汚職問題を追及してきました。彼女の高潔さは非の打ち所がありません。どこで聞いても、彼女は素晴らしいリーダーです。過去5人の司法長官候補者が承認されたときよりも彼女が長い期間放置されていることに意味はありません。前に進み、承認されるべきなのです」
エリック・ホルダー司法長官も20日、MSNBCのインタビューで、今回の遅れに人種が関係しているとの考えを否定した。
アフリカ系アメリカ人として初の司法長官であるホルダー氏は「私の推測では、おそらく、これに対する大きな人種的な要素はなく、ワシントンD.C.の政治そのものが、本当に最悪の状態にあるということです」と述べた。「今回の候補者に関係ない何かが今回の遅れの原因でしょう。それが主な原因であると私は考えます」。
リンチ氏は20日、超党派による支持を得た。そのさい、ルドルフ・ジュリアーニ元ニューヨーク市長が、共和党議員に対し、彼女の承認を遅らせるのを止めるよう要求した。
大統領は20日、メキシコの麻薬組織を摘発するための「おとり作戦」に失敗するなど、共和党議員の批判の矛先となっているホルダー司法長官が、後任決定まで司法長官の職に留まることに同意していると改めて述べた。
「もちろん、皮肉なことに、共和党議員が嫌っているホルダー司法長官の任期が伸びることになるのです」と大統領は述べた。「もし本当に彼らがホルダー司法長官を下ろしたければ、その最善策は、承認の遅れを解決し、ロレッタ・リンチ氏を承認することなのです」
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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