なぜ、相撲界では日本人横綱が生まれないのか――。イギリスの経済誌「エコノミスト」は、3月17日に公開した論考でその理由を分析している。
日本人の横綱は1998年に昇進した若乃花を最後で、それ以降はハワイ出身の武蔵丸を挟み、朝青龍、白鵬、日馬富士、鶴竜とモンゴル勢が占めている。また、2006年初場所の栃東以来、日本人力士は9年間本場所の優勝から遠ざかっている状況だ。
理由についてエコノミストは、日本の人口動態にあると解く。
その主な理由は、相撲部屋に弟子入りする人の数が、年々、減少していることにある。日本の人口減による労働力不足の影響が、相撲界を直撃しているのだ。かつては、貧しく、ハングリーな地方の大家族出身の若者が相撲で成功する典型的な例だった。しかし今は昔よりも核家族化が進み、そして豊かになっている。だから、恵まれない背景を持った外国人が呼ばれ、その能力を証明することになるわけだ。
(The Economist explains: Why the Japanese are no longer on top in sumo wrestling | The Economist 2015/03/17)
そしてさらに、2007年に時津風部屋で当時17歳の弟子が暴行されて死亡した事件や2010年の違法賭博事件など相撲界の不祥事についても触れ、その古い体質が若者を遠ざけていると分析している。
日本相撲協会は保守的で、今に至るまで変わることを拒んでいる。2013年、相撲界の危機に際して、協会は外部の有識者を招いて親方よりも権力を与え、法人格を公益財団法人に移行するなど、変わろうとはしている。しかし、こうした改革が実を結び、日本人横綱が再び生まれるかどうかは、未だ不透明だ。
(The Economist explains: Why the Japanese are no longer on top in sumo wrestling | The Economist 2015/03/17)
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