反同性愛団体が掲げた看板の男性モデルは、ゲイだった(画像)

37歳のカイル・ルーさんは、2014年12月のある日、バージニア州リッチモンドの幹線道路からよく見える物議をかもした看板に、自分の写真が使われていると友人から聞いて驚いた。

37歳のカイル・ルーさんは、2014年12月のある日、アメリカ、バージニア州リッチモンドの幹線道路からよく見える物議をかもした看板に、自分の写真が使われていると友人から聞いて驚いた。看板にはルーさんの写真が2枚使用されている。1枚はスーツに身を包み、もう1枚はTシャツを着ている写真で、「一卵性双生児。1人はゲイ、もう1人は違う。双生児の研究によると、生まれつき同性愛者の人間などいないことが分かっている」という説明が入っている。

PFOXが制作した反同性愛の看板

この看板は「元同性愛者と(現)同性愛者の親と友人(略称PFOX)」という、反同性愛のNPO団体が立てたものだ。彼らは、同性愛者はセラピーや祈りを通じて性的指向を変えられるという(科学的根拠のない)考えを広めている

南アフリカのケープタウン出身のインテリアデザイナーであるルーさんは、この看板の思想を支持していない。そもそも彼は双子ではない。というか、彼は同性愛者なのだ。

「ゲイであること、そしてそれをカミングアウトしていることに誇りを持っています。僕は科学者ではないけれど、自分や仲間の経験から言って、自分の意思で同性愛者になっている訳じゃないことを知っています」と、ルーさんはハフポストUS版にメールで語っている。

その後、PFOXは問題の看板を撤去した。ルーさんは、彼らが写真素材サイトから自分の写真を購入したのだろうと考えている。法的に自分ができることなどあまりないと彼は言う。しかしルーさんは自分のやり方で反撃した。

2月17日、カンザス州トピカを拠点とするNPOのプランティング・ピースは、PFOXの看板が立っていた場所の近くに新しい看板を立てた。新しい看板はPFOXの看板と同じ色とスタイルを使ってデザインされ、ルーさんの写真を使用している。そしてこんなキャプションが付いている。「PFOXへ: 一卵性双生児? 違います。僕はゲイ。あなたたちがどう考えようが、僕は生まれつきゲイ。そして自分を誇りに思う」。

PFOXの広報担当者はこの件についてコメントをしていない。

プランディング・ピースが制作した看板

ルーさんがゲイだとカミングアウトしているとメディアが報じた後、プランティング・ピースの理事長アーロン・ジャクソン氏はルーさんに連絡を取った。ジャクソン氏はゲイやレズビアンの若者たちが看板を見てしまうのではと懸念した。

精神衛生学の研究者の大半は、セラピーで人の性的指向が変えられるという考えを完全に否定している。 セラピーで性的指向を変えようとすると、うつ病につながり、不安感が増し、さらには自殺にも発展しかねないとも言われている。性的指向を決定づける要因が何なのか、科学的にはいまだに正確に分かっていない。

「LGBTに関する問題について、婚姻の平等といった進歩はありますが、まだまだ先は長いのです。自分たちをサポートしてくれ、無条件に自分自身を受け入れてくれる人々がいると、LGBTの若者たちが知ることが重要なのです」とジャクソン氏はハフポストUS版に語った。

ジャクソン氏とプランティング・ピースは反同性愛団体と戦ってきた。2013年には、ジャクソン氏はカンザス州トピカのウエストボロ・バプティスト教会の真向かいに家を購入し、この教会の悪名高い同性愛嫌悪の教えと戦ってきた。彼は家を虹色に塗り、「平等の家」と呼んだ。ジャクソン氏が購入した後、この家は同性カップルの結婚式場やドラァグ・クイーンによるショー「Drage Down Bigotry (原題/訳:偏見を引きずり下ろせ)」の会場として使われている。驚くことに、バプティスト教会に通う近所の住民たちと「心のこもった」対話の場となっているとも言われている。

「プランティング・ピースの中心にある哲学は、扇動する集団の行動に対し、積極的に平和な抗議を起こすことです。そして、愛と支援、慈悲の心を持って、心ない言葉に反撃し、「劣っている」と感じさせられている人々の権利のために戦うことです」 とジャクソン氏は語る。

現在、この団体は看板を維持するために、ウェブ上で寄付を集めている

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