『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』の脚本でアカデミー脚色賞を受賞し、オスカー像を手渡された彼はステージで自分の経験を話した。
「16歳の時、私は自殺を図りました。しかし、そんな私が今ここに立っています。私はこの場を、自分の居場所がないと感じている子供たちのために捧げたい。あなたには居場所があります。どうかそのまま、変わったままで、他の人と違うままでいてください。そしていつかあなたがこの場所に立った時に、同じメッセージを伝えてあげてください」
授賞式の後の舞台裏のインタビューでムーア氏は、大舞台でスピーチをすることは彼にとっては大変なことだったが、それは彼にとって必要なことだったと話した。
「スピーチをすることは私にとって大変なことでした。私は脚本家です。脚本家がテレビにでることなんて、ほとんどないでしょう?だから自分の人生の中で45秒間テレビにうつるという貴重な機会に、何か意味のあることを伝えた方がいいと思ったんです」
また、ムーア氏は十代の頃からうつ病と闘っていると言い、そして支えてくれる家族がいることはとても幸運なことだと話した。
「今夜、母は私の隣に座っていました。アカデミー賞の受賞を目にすることは、母にとっても意味深いものだったと思います」とムーア氏は述べる。「支えてくれる友人や家族が周りにいることにとても感謝しています。誰もがこのような幸運に恵まれているわけではありませんから」
『イミテーション・ゲーム』は第二次世界大戦中、に世界最強とされたドイツ軍の暗号システム「エニグマ」を解読したイギリスの数学者アラン・チューリングの生涯を、実話に基づいて描いた映画だ。
チューリングは終戦後、同性愛の罪で起訴され、1954年に41歳で自殺した。ムーア氏はアカデミー賞授賞式の後「BuzzFeed News」のインタビューで、チューリングの悲劇もスピーチのをする原動力になったと述べている。
「私は同性愛者ではありませんが、しかしこれまで自分のうつ病のことを公の場で話したことはありませんでした。この映画ではまさにそういったことを描いていて、そしてそれは私がアラン・チューリングに強く惹かれた理由の一つでもあります」とムーア氏は語っている。
「私たちは皆、さまざまな理由から『自分は変わっている』と感じていると思います。チューリングにも変わったところがあり、私にもある。チューリングのそういった部分がいつも私の心を動かすのです」
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:丸山佳伸、合原弘子/ガリレオ]
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