大韓航空の趙顕娥(チョ・ヒョナ)前副社長が、乗務員のナッツの出し方に激怒して飛行機を引き返させたとして、航空保安法違反や暴行、業務妨害など5つの罪に問われた裁判で、ソウル西部地裁は2月12日、趙前副社長に懲役1年の実刑判決(求刑・懲役3年)を言い渡した。
事件は「ナッツリターン」と呼ばれ話題となり、趙前副社長が現会長の長女だったことから、韓国財閥の世襲の問題などが指摘された。趙前副社長は論告求刑公判までに、裁判所に6回にわたって反省文を提出していたが、聯合ニュースによると、判決では「真剣に反省しているか疑問」とした。
裁判では、航空保安法違反に当たるかどうかが最大の争点になった。趙前副社長が引き返すよう命じたときに、飛行機は滑走路への誘導路上を17m進んだ状況で、飛び立っていなかったことから、前副社長側は「『航路』には当たらない」と主張。飛行機を引き返す権限が機長にあることなどを理由に「法律違反は成立しない」と主張していた。
判決では、「航路変更は、空路だけでなく離陸前の地上まで含まれると解釈するのが妥当だ」として、航路変更の成立を認定。「すでに出発した」と聞いた上で「飛行機を止めろ」と命じた点などをについて、航空機安全運行阻害と暴行、業務妨害を認定した。
中央日報によると、「機長は趙被告が航空機内で暴言を吐き、乗務員が飛行機を降りるよう求めたことを知り、その威力に圧倒されてゲートリターンの決定を下した」と認めた。趙前副社長が機内で興奮しており、故意ではなかったとする主張も「乗務員らの主張を総合すると、故意でなかったとの主張は認めがたい」と退けた。
一方で、政府が調査に乗り出すと、大韓航空常務らと共謀して調査を妨害したとする起訴内容については「有利な調査結果が出るようにした明確な証拠がない」として退けた。
趙前副社長は2014年12月5日、ニューヨーク発ソウル行き大韓航空KE086便の機内で離陸直前、乗務員がファーストクラスでのナッツを提供した際「マニュアルと違う」と激怒。機内サービスの責任者であるチーフパーサーらに暴言を吐き、暴行を働くなどした後、飛行機を引き返させるよう指示、チーフパーサーを降ろしてから離陸させた。
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