2015年のグラミー賞で、ビヨンセは最優秀R&Bパフォーマンス賞などを受賞。授賞式では、有名なゴスペルソング『プレシャス・ロード』(Take My Hand, Precious Lord)を熱唱し、ソーシャルメディアでファンから大きな注目を集めた。
『プレシャス・ロード』は、1965年にアラバマ州でマーチン・ルーサー・キング牧師などが先導した有名な公民権運動の行進を描き、今年のアカデミー賞作品賞にノミネートされている映画『セルマ』の中で、レデシーが歌っている曲でもある。
レデシーが映画で歌っている曲をビヨンセがグラミー賞で歌うのは失礼ではないかと思われるかもしれないが、しかし『プレシャス・ロード』は、ビヨンセの彼女の家族にとって思い入れのある曲だった。彼女はそれを、グラミー賞から一夜明けた2月9日に、彼女のオフィシャルウェブサイトとYouTubeチャンネルで、独占公開したドキュメンタリー動画「Take My Hand, Precious Lord’: The Voices」の中で明かしている(動画は冒頭に掲載)。
動画には、彼女のグラミー賞のパフォーマンスのリハーサル映像と、彼女のバックシンガーたちが人種的な不平等についての思いを語る様子がうつっている。
そしてビヨンセ自身も幼い頃に母親のティナさんがマヘリア・ジャクソンによるオリジナルバージョンをよく聴いていた、と振り返り、この曲を歌ったのは、父親であり元マネージャーでもあるマシューをはじめとするアフリカ系アメリカ人男性たちに敬意を表したかったからだと明かしている。
「この世で生き、闘い、涙を流し、そして光と情熱をうちに秘める、そんな本物の男性たちを表現したかったんです」と、ビヨンセは動画のなかで語っている。「アフリカ系アメリカ人男性たちの強さと弱さを表現するいい機会ではないかと思いました」
「私の祖父母は、キング牧師の行進に参加しました。父は、白人だけの学校にアフリカ系アメリカ人が入学した最初の世代でした」とビヨンセは続ける。
「父は、当時の経験のせいで、多くのトラウマを抱えながら大人になりました。いまこそ、父の痛みのために歌うことができる。祖父母の痛みのために歌うことができる。息子を亡くした家族たちのために歌うことができる。そんな気がしたのです」
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:遠藤康子/ガリレオ]
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