大事な会議や義理の家族と食事する時など、携帯電話をいじることができない時はかえって自由になれると感じる人もいるかもしれないが、実際のところは、全く逆のようだ。
アメリカのミズーリ大学コロンビア校による研究で、iPhoneを持っていないと「身体が不安を感じ」、そして「認知能力が低下」することにつながる可能性があるという結果が発表された。
この「拡張した自分「iSelf」:iPhoneからの分離が認知能力、感情、身体機能におよぼす影響」というタイトルで発表された研究は、2015年1月8日のオンライン版「Journal of Computer-Mediated Communication」で公開された。
この実験では、アメリカ中西部にある大学のジャーナリズムの講義をとっていた学生のうち、iPhoneを使用している学生40人を参加者として選んだ。iPhone使用者を選んだのは、他のスマートフォンに比べ、サイレントモードを解除するのが簡単だったからだという。
参加者たちには、まず最初に小さなブースに入ってもらい、iPhoneを手元に置いたまま、簡単な言葉探しのパズルに取り組んでもらった。
そしてその後、iPhoneがブルートゥースとの通信障害の原因になっているということを理由に、iPhoneを別の場所へ移動。そして彼らが再びパズルに取り組んでもらっている間、研究者がそのiPhoneに電話をかけ、参加者は着信音が聞こえるiPhoneが見えているにもかかわらず、それをとることができないという状態を作った。
この一連の実験の間、研究者たちは参加者の心拍数と血圧を記録し続けたが、結果がどうなったかは、誰でも簡単に予想できるかもしれない。
手の届かないところにあるiPhoneが着信音を鳴らしているのを目にしながら何もできないという状態でパズルを解いていた時、参加者は強い不安を感じ、心拍と血圧が著しく上昇した。またパズルの成績も悪化した。
研究チームはこの論文のニュースリリースで「iPhoneを使っている人は、日常生活で特に集中しないといけないような時には、iPhoneを手の届かない場所に置かない方がいい」と提言している。彼らによれば、iPhoneが手元にないことで持ち主は「自分が小さくなったような」気持ちになる可能性があるという。
ただし、この研究は「iPhoneが手元にない」ことへの不安を解明したというよりは、「自分の携帯電話に着信があるのに応答できないときに人々はどれくらい不安を感じるか」を測定したにすぎないという反論もできる。今回の研究では、「iPhoneが参加者の手元にある状態で電話をかけ、その上で応答を禁止する」という実験を行っていない。もし、その実験もしていれば、どちらの要素が参加者を不安にしたのかが明確になっていたかもしれない。
論文の筆頭著者で、ミズーリ大学の博士号取得候補者ラッセル・クレイトン氏は、そうした実験の欠点を率直に認めた上で、ハフポストUS版に、研究結果の妥当性には自信があると述べた。つまり、「着信がある自分の携帯電話が手の届かない場所にあることは、被験者にネガティブな影響を及ぼす」ということだ。
それでは、集中しなければいけないときに、スマートフォンをどのように扱えばいいのだろうか。
クレイトン氏のアドバイスは「iPhoneはいつも手元に置いておくのが良い」だ。「ただし、注意散漫な状態になる可能性を避けるために、仕事・会議・試験など、高い認知能力を求められるタスクを行う間は、電話が鳴らないように設定しておくといいですね」
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
[日本語版:水書健司、合原弘子/ガリレオ]
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