ハフポストの英文記事から、最新の時事英語や知って得するキーフレーズをピックアップしてご紹介します。
執筆者:丸橋 勇
この一週間の衝撃的な事件といえば、2人の日本人が「イスラム国」によって拉致されて、1人が殺害されたとみられることである。この事件を伝えているハフポストUS版の記事から重要な用語を拾ってみました。
【例文】
Alleged ISIS Video Claims Japanese Hostage Haruna Yukawa Was Executed, Issues New Demand
[以下抜粋]
Members of the Islamic Statemilitant groupcirculated an online video on Saturday claiming they have executed Japanese hostage Haruna Yukawa.
A still image of the second Japanese man held by the group, Kenji Goto Jogo, appears in the video holding a picture purportedly of Yukawa's body. In audio, a man purporting to be Goto pleads for his life and says the militant group is now demanding a prisoner exchange for a suspected female militant imprisoned in Jordan, Sajida al-Rishawi.
<中略>
The format of the video differed from earlier releases by the group, raising skepticism among some analysts over its authenticity.
【今週のポイント】
ISIS, Islamic State, ISIL
欧米のニュースでもこの3つの名称が使われているが、その違いは以下のようになる。
Islamic State「イスラム国」。イスラム国の指導者が望んでいる名称とされている。その理由は、Islamic Stateが、この組織がカリフ(caliph、「イスラム圏において宗教と政治の両方の権威を持つ指導者」)の存在を認めていることを連想させるからである。国連、一部の国の政府、主要なイスラム組織は、この名称を使うことを拒否し、一部の組織機関は、Islamic State groupやIslamic State militant groupと表記している。
ISIS ("Islamic State of Iraq and Syria"の略)シリアに侵略することによってできた呼び方。
ISIL ("Islamic State of Iraq and the Levant"の略)Levant(レバント地方)とは、地中海の東側沿岸国(レバノン、シリア、イスラエル)を指す。
なお、各組織やメディアが使用している名称は下記の通りである。
United Nations: ISIL
NATO(North Atlantic Treaty Organization): Islamic State
米国系メディア
Chicago Tribune: Islamic State(必ず前後にgroupまたはmilitant groupをつけて使用)
New York Times: Islamic State (一部では、militant groupをつけて使用)
USA Today: Islamic State
Wall Street Journal: Islamic State
Washington Post: Islamic State
英国系メディア
Financial Times: ISIL
Guardian: Islamic State(ただし、記事によってはISISをカッコ内で併記)
Independent: ISIS
Telegraph: ISIS
The Times: Islamic State
【その他のキーフレーズ】
militant group
「過激派組織」
circulated
直訳は「回覧した」「流した」ですが、この場合は「投稿した」「アップロードした」と同じ意味。
executed
「処刑された」
hostage
「人質」
purportedly
「〜とされる」
pleads for his life
「命乞いする」
skepticism
「疑念」
authenticity
「信ぴょう性」
【今回の例文の仮訳】
ISISのものとされているビデオが湯川遥菜さんが処刑されたと伝え、さらに新たな要求を発表
過激派組織イスラム国のメンバーが24日、ビデオをインターネットに投稿し、その中で日本人人質の湯川遥菜さんを処刑したと主張した。
イスラム国によって拘束されている日本人2人目の後藤健二さんの静止画がビデオには写り、湯川さんの体とみられる写真を掲げていた。音声では、後藤さんを名乗る男が命乞いし、ヨルダン当局に収監されているサジダ・アル・リシャウィ容疑者の釈放を要求している。
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執筆者
丸橋 勇(フリー通訳・翻訳業)
同時通訳者だった父親の関係で幼児期から10年間米国滞在。慶応義塾大学文学部。外資系企業等の勤務を経て、26歳で 独立し以来約30年間フリーの通訳・翻訳家として活躍。主な業務内容は、ビジネス系・技術系・学術系通訳及びドキュメントの翻訳。
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