過激派組織「イスラム国」が日本人2人を人質に身代金を要求していることについて、フリージャーナリストの常岡浩介さん(45)は1月21日、「私とハサン中田考先生はイスラム国と交渉が出来ます」「日本人の人命救助のためなら外務省にも、警察にも喜んで協力します」と、インターネットのSNSサイトGoogle+に記した。
常岡さんは中東での取材経験が豊富。2010年4月から5カ月間、アフガニスタンで武装勢力に拘束されたこともある。2014年秋には、イスラム国に戦闘員として加わろうとしたとして私戦予備・陰謀の疑いで北海道大学の学生が事情聴取された事件に関与したとして、元同志社大学教授でイスラム法学が専門の中田考さんととも警察から捜査を受けていた。
常岡さんのGoogle+への記述は次の通り。
私とハサン中田考先生はイスラム国と交渉が出来ます。が、イスラム国側の連絡先情報を警察がおさえた今、盗聴、発信元探知などで相手方に危険が及ぶ可能性があり、現地に連絡を試みることができていません。
日本政府がオマル・グラバ司令官の身柄の安全を保証し、私とハサン先生を交渉人として認めてくれれば、私たちは湯川さん、後藤さんの解放をイスラム国に直接、訴えることができます。日本の拠出する2億ドルはあくまで人道支援目的に限定されたもので、イスラム国を軍事攻撃するためのものではないと説明できます。さらに、イスラム国側が安倍総理の対中東政策をもって、日本人人質を処刑するのは不当、不適切だと説明します。
オマル・グラバ司令官の説明では、去年の8月から10月にかけて、イスラム国は湯川さんを処刑したり、身代金を要求する意志がないことを明言していました。今回、その方針が変わった理由を問い質します。
現時点で、外務省からも、警察からも、連絡などは一切ありません。日本政府が独自にイスラム国と交渉し、人質を解放させられる見通しと自信があるのなら、問題ないと思いますが、そうでないとしたら、なぜ、連絡がないのか、首を傾げます。
(Google+)
常岡さんは21日、ハフポスト日本版の取材に対して「日本の外務省や警察と、イスラム国との間にはパイプ役となる人材がいません。そのため、イスラム国と直接交渉することができていません」と話した。
また、文中の「オマル・グラバ司令官」については、イスラム国の下級司令官で、常岡さんはこれまでに3回会ったことがある人物と説明。指揮命令系統のライン上にいて、グラバ司令官の直接の上官が、現在人質となっている湯川さんを担当しているという。
常岡さんが2014年9月にグラバ司令官と会った際には、イスラム国は湯川さんを処刑したり身代金を要求したりする意志はないと話し、さらには湯川さんの裁判を開くため、中田さんは通訳者、常岡さんは取材者としてイスラム国に来てくれと頼んでいたという。
これを受けて常岡さんはイスラム国に向かう予定を立てていたが、北大生の事件で警視庁から家宅捜索を受け、パスポートやパソコン、携帯電話などを押収されたため、渡航を断念した。その後、グラバ司令官とは連絡が取れないため、常岡さんは「イスラム国の状況が変わった可能性がある」と話した。
常岡さんは「国が正式に要請してくれば、今すぐにでも交渉人になって人質解放に協力します」と話した。21日午後6時現在、政府側からは交渉人の打診など連絡は入っていないという。
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