イスラム系武装組織「イスラム国」が、湯川遥菜さんと後藤健二さんとみられる日本人2人を人質に取り、身代金を要求するビデオがインターネットで配信された事件を受け、菅義偉官房長官は1月20日午後の定例記者会見で、日本政府として事実関係の確認を続けるとともに、中東歴訪中の安倍晋三首相から「人命第一に対応する」との指示を受けたことを明らかにした。
一方で「テロに屈することなく、国際社会のテロとの戦いに貢献する」という日本政府の立場に変わりはないとも述べた。
安倍首相は、パレスチナ自治政府のアッバス大統領との会談は予定通り行い、この件についての対応も協議する。それ以外の視察などは取りやめるという。また、首相に同行している中山泰秀・外務副大臣をヨルダンのアンマンに派遣して現地での指揮に当たらせるとした。
菅官房長官の発言と主な質疑応答は以下の通り。
【冒頭発言】
仮にこれが事実とすれば、人名を盾にとって脅迫することは許し難い。強い憤りを覚えます。日本政府としては、関係各国とも協力して、当該個人の早期解放に向け最大限の努力をします。16:00に総理に報告し、2点の指示を得ました。
第1に、事実関係の確認に全力を尽くす。第2は関係各国とも協力をし、人命第一に対応すること。さらに現在、総理同行中の中山外務副大臣をヨルダンのアンマンに派遣し、現地で指揮を執ることとしました。東京においても動画配信後、15:00に総理官邸に対策室を設置し、外務省も対策本部を設置しました。
【主な質疑応答】
Q 人定の確認は。
A まだ確認中ですので個別のことは差し控えます。
Q 身代金の要求について日本政府の対応は。
A 我が国としてはテロに屈することなく、国際社会のテロとの戦いに貢献するというのが我が国の立場に変わりはありません。
Q 早期解放に向けどういう体制で臨むのか。
A ある程度情報が収集され次第、報告を受けたいと思います。
Q 外遊先のカイロでイスラム国対策を表明したから、とあるが。
A ご承知の通り、今回の総理訪問の主眼は中東地域の安定に日本として積極的に貢献することなので、人道支援、インフラ整備など非軍事分野での支援を表明しました。
Q 身代金への対応だが、もう少し具体的に。
A 今まさに確認中ですので。
Q 映像を確認した時間は。
A 3時ちょっと前です。
Q 今後総理のスケジュールに何らかの変更は。
A 総理はパレスチナのアッバス大統領との会談など公式行事は行います。それ以外は取りやめる。アッバス大統領との会談でも本件について取り上げる予定です。
Q NSC関連閣僚はできるだけ早く日本に戻すのか。
A それは考えておりません。麻生副総理と連携を取りながらしっかり対応していきたい。
Q 総理のスケジュール、早く帰ってくるのか。
A 公式行事はそのまま続けますし、政府関係者との会談の際に、この件についても協力を求めます。
Q 具体的に接触ルートは。
A そうしたことも含めて、関係国と連携を取っています。
Q あるかどうかは。
A コメントなしです。とにかく総理の指示で事実関係の確認に全力と、関係各国と対応して人命第一に、とのことですので、取り組んで参りたい。
Q 湯川さんに関してしばらく前から拘束の話があったが、その間のイスラム国の動きについて。
A そうしたことも含めて対応してまいりたい。
Q こうした事態は可能性として想定していたのか。
A 危険な国への渡航禁止、渡航自粛ということで対応してきています。
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