ホームレス女性の多くは、安全に眠ることができ、温かい食事を食べられる場所を知っている。しかし、女性特有の問題である生理中の処置となると、誰を頼って良いのかわからない。
タンポンや生理用ナプキンは、ホームレス・シェルターで不足する品物の上位に入ることが多い。中東カタールの衛星テレビ局「アルジャジーラ」の取材に答えたソーシャル・ワーカーによると、こうした品は値段が高く、寄付する支援者も少ないためだ。さらに問題を複雑にさせているのは、清潔なシャワーが使える場所も少ないという実態だ。生理中、適切に洗い落とさなければ、感染症にかかる恐れがある。
事態は深刻だが、多くのホームレス女性は仕方がないとあきらめてしまっている。
「この先も、清潔とは無縁の生活でしょうね」サンフランシスコの路上で生活する若い女性は、移動式シャワープログラム「ラヴァ・メイ」を創立した起業家ドニース・サンドヴァル氏へそう愚痴をこぼしたことがある。アメリカ国内の問題解決のために提言を行うサイト「ネイション・スウェル」に。
マリベル・ギレットさん(36歳)にも、その気持ちは痛いほどよく分かる。
ニューヨーク州ブロンクスのホームレス・シェルターに住むギレットさんの生理は、いつも10日ほど続き、量も多い。しかし、ギレットさんは「シェルターの制限は厳しく、いつでも好きなだけトイレを使うことができるわけではない」と、アルジャジーラに語った。
そもそも、生理について口にすることすらはばかられるという実情があり、支援する人々がいても、これほどまで対策が求められているということはあまり知られていない。
2009年、ニュージャージー州カムデンに住むジョーニー・バルダーストーンさんとそのパートナーのレベッカ・マッキンタイヤさんは、ホームレス・シェルターへ服を寄付するために持ち込んだ時、そこにいた女性たちに他に何か必要なものはないかと質問した。
ほとんどの女性が、ナプキンとタンポンが必要だと答えたため、2人は団体のウェブサイトに書き込んだ。
このやり取りがきっかけで、2人は「ディストリビューティング・ディグニティ(尊厳を届ける)」という非営利団体を立ち上げた。ブラジャーや生理用品を、必要とする女性へ寄付するのが目的だ。
それから数カ月後、この団体は第1回目の「マルディ・ブラ」〔ニューオリンズのパレード「マルディ・グラ」になぞらえたもの〕パーティを主催した。ニュースサイト「Philly.com」によると、参加者の寄付によって80枚の新品のブラジャーと、生理用品が数多く集まり、カムデンにある数カ所のシェルターへ届けられたという。
それ以来、この活動はサウス・ジャージーとフィラデルフィア一帯のシェルターへ拡大している。
当たり前に手に入るはずの日用品が、支援を受けるホームレスの女性たちにとって、どれほど貴重であるかがようやく知られるようになった。
家庭内暴力から逃げだしてきた女性を支援する「カムデン郡女性センター」へ、先日生理用ナプキンが届けられた。箱の中には様々なサイズのナプキンが詰められており、入居者は大いに喜んだという。
「大げさかもしれないけれど」センターのケースワーカーを務めるジーン・モンカヨさんは、Philly.comにこう話した。「選べることは力、そういうことなのかなって」。
ディストリビューティング・ディグニティへの支援情報はこちら。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。
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