『琉球の風』や『秘本三国志』などの小説で知られる、直木賞作家の陳舜臣(ちん・しゅんしん)さんが1月21日、老衰のため死去した。90歳。神戸新聞などが伝えた。
陳さんは1924年、台湾出身の貿易商の次男として神戸市で生まれた。大阪外国語学校(現・大阪大学外国語学部)卒業後、同校で助手となりインド語辞典の編纂作業などに従事した。敗戦で国籍が日本から中国に変わり、研究者の道が閉ざされたため退職。家業を手伝いながら小説を書き始めた。
1961年に神戸を舞台にした長編推理小説『枯草の根』で江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。1967年の『阿片戦争』をはじめ、1977年の『秘本三国志』、1982年の『太平天国』など中国の歴史を題材にした作品を多く書き、日本における中国歴史小説ジャンルを確立した。1969年には『青玉獅子香炉(せいぎょくししこうろ)』で直木賞を、1976年の『敦煌の旅』では大仏次郎賞を受賞している。
陳さんは1990年に日本国籍を取得。1993年のNHKの大河ドラマ『琉球の風』では原作も手がけた。1995年に日本芸術院賞、1998年には勲三等瑞宝章を受けた。
陳さんについて朝日新聞デジタルは次のように評価した。
日本育ちの中国人としての複眼的な視点から、日中の相互理解のために積極的に発言し、美術、陶芸の目利きとしても知られた。90年に日本国籍を取得。
(作家の陳舜臣さんが死去 90歳、日中の文化的架け橋:朝日新聞デジタルより 2015/01/21 13:36)
また、編集者の松岡正剛氏は作品について、「中国ものはだいたいうまい。われわれが知らないことがさすがに突きとめられている。著者の名を高らしめたアヘン戦争についての小説やエッセイは、とくに考えさせられた」とコメントした。
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