兵庫県は1月19日、自転車保険の加入を義務付ける条例案の骨子を発表した。自転車保険加入の義務化は全国初。20日から県民の意見を募集開始している。2月議会に条例案を提出し、このうち保険加入義務化の部分は10月までの施行を目指す。産経WESTなどが報じた。
骨子案によると、自転車保険は、未成年者は保護者、仕事で使う自転車は企業に加入を求める。販売業者は購入者に保険加入の有無を確認し、未加入の場合は加入を促すこととした。取り締まりが難しいため罰則は設けない。
(自転車に保険加入義務付け 兵庫県が安全条例、2月議会提案へ 10月までに全面施行目指す - 産経WESTより 2015/01.20 07:57)
■自転車事故で高額賠償、しかし払われないケースも
自転車は車やオートバイのように強制加入保険がない。県の資料によると、兵庫県内では自転車と歩行者の事故が2013年に175件となり、2004年の93件から1.9倍に増加しているのに対し、自転車保険の加入率は24%にとどまる。
自転車対歩行者の交通事故では、自転車側が加害者となりうる可能性が高く、また、高額な賠償が求められるケースが増えているという。2013年7月には神戸地裁が、小学生の自転車が62歳の女性をはねて植物状態にさせたとして、小学生の母親に9500万円の賠償を命じる判決を下した。
少年の家庭は母子家庭。母親は賠償責任をカバーする保険に入っておらず、破産手続きを開始した。その後、神戸地裁から被害者家族に届いた通知書には、債権者に分配できる財産はないと書かれていたという。加害者側からは音沙汰がなかった。
賠償金ゼロのまま、加害者家族らは債務の支払い責任をなくす免責の手続きを開始。被害女性の夫はその際、次のような意見書を提出した。
「被害者に何の振る舞いも示さず、逃げてしまうのは決して許せません」。
■月額100円程度の自転車保険も
現在の民間会社の自転車保険商品は、年間4000〜5000円と加入のハードルが高い。そのため県は、年間1500〜2000円程度の保険料で、事故の被害者に払う賠償金を補償する自転車保険を民間会社につくってもらい、保険非加入の自転車利用者に、加入を促す方針だ。保険での補償額(対人・対物)の上限は、4000万円かそれ以上とする方針。
インターネット上で販売される保険商品も出てきていることから、条例案について協議してきた有識者らによる検討委員会は2014年10月、「月額100円程度の自転車保険もあり(中略)保険に加入することが著しい経済負担になるとまでは言えない」とする報告書をまとめている。
なお、自転車保険には自動車保険や火災保険の特約として加入できる商品もあり、契約内容によっては契約者だけでなく、契約者の家族も補償対象となり得るが、あまり認識されていないのが現状だ。検討委員会からは、「自転車利用者への(自転車)保険の認知度をより高めていく必要がある」との指摘が出ていた。
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